田の浦海岸は、香川県東かがわ市引田にある穏やかな湾内の海水浴場である。しかし、その裏では林での首吊り自殺や海岸に打ち上げられる水死体の目撃など、不気味な出来事が相次いでおり、一部では心霊スポットとして噂されている。今回は、田の浦海岸にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
田の浦海岸とは?

田の浦海岸は香川県東かがわ市引田に位置する湾内の遠浅海岸である。
波は穏やかで、夏には海水浴やキャンプを楽しむ家族連れで賑わう。
干潮時には、少し沖に浮かぶ女郎島と陸がつながり、歩いて渡ることができる場所としても知られている。
施設としてシャワーやトイレも整備され、観光地としては平和な印象を与える海岸である。
しかし、その裏側には暗い歴史と不可解な出来事が潜んでいる。
海岸周辺の林では首吊り自殺が相次いで発生し、また海岸に水死体が漂着することも珍しくない。
このような背景から、田の浦海岸は単なる行楽地ではなく、恐ろしい心霊スポットとして語られてきたのである。
田の浦海岸の心霊現象
田の浦海岸の心霊現象は、
- 海岸周辺の林で首を吊った人々の霊が目撃される
- 海面や砂浜に土佐衛門(水死体)が現れるという噂
- キャンプ場で心霊写真が撮影される
- 夜の海岸で火の玉が漂う姿を見たという証言
- 白い服を着たずぶ濡れの女の霊が出没する
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、海岸背後に広がる林は特に不気味である。
ここではかつて首吊り自殺が多発し、夜に足を踏み入れると木々の間から人影がぶら下がって揺れているのを見たという証言が存在する。
実際には風で動く枝であっても、一度そう見えてしまえば背筋が凍ることは間違いない。
また、この海岸は「死を引き寄せる場所」と呼ばれることもある。
波打ち際に土佐衛門が打ち上げられたという噂は後を絶たず、白骨化した死体が流れ着いたという話さえある。
キャンプ場では心霊写真の報告が相次いでおり、楽しげに撮った集合写真の片隅に、誰もいないはずの女の顔や、透けた子供の姿が写り込んでいたという。
さらに、深夜の砂浜で火の玉が漂うのを見た人もおり、青白い光が静かに揺らめきながら海へ消えていったと語られる。
最も恐ろしいのは、夏の夜に目撃される白い服の女の霊である。
ずぶ濡れの姿で砂浜をさまよい、ふと目をそらすと忽然と姿を消す。
生者を恨むように無言で立ち尽くす姿は、海に消えた命の残滓であるとも噂されている。
田の浦海岸の心霊体験談
ある若者のグループが、夏の夜に花火を楽しもうと田の浦海岸を訪れた。
波の音を聞きながら笑い声が響く中、ふと一人が海辺に佇む白い影に気づいた。
近づいて見ると、それは髪を濡らした女であり、月明かりに照らされたその顔は土気色をしていた。
驚いた若者たちが悲鳴を上げると、女は音もなく海の方へ歩き出し、そのまま波間に消えていったという。
この体験談は現在も地元で語り継がれている。
田の浦海岸の心霊考察
田の浦海岸が心霊スポットと呼ばれる所以は、やはり過去に繰り返された自殺や水難事故の多さにあると考えられる。
海と森に囲まれた静かな環境は、人の心を追い詰め、死者の痕跡を強く刻み込んできたのかもしれない。
また、干潮時に姿を現す女郎島も「人を呼ぶ島」として恐れられてきた。
海に沈んだ怨念が、この島を経由して海岸へと流れ込むのではないかと推測されている。
表向きは穏やかな行楽地でありながら、裏では数多の死を抱え込んできた田の浦海岸。
ここを訪れる者は、ただの海辺の風景に潜む「もうひとつの顔」を見てしまうかもしれないのである。
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