福島県西白河郡矢吹町にある廃墟アパートの一室「赤い部屋」には、数々の不可解な噂が存在する。赤いブラインドが不気味に揺れる部屋、鳴り響く黒電話、そして一家心中の過去──。今回は、赤い部屋にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
赤い部屋とは?

「赤い部屋」とは、福島県西白河郡矢吹町神田西に位置する、現在は使われていない古びたアパートの一室である。
1990年代までは実際に人が住んでいた記録があり、3階建て・12世帯が入居可能な集合住宅であった。
この部屋が「赤い部屋」と呼ばれるようになったのは、朽ちかけた建物の窓から赤いブラインドが外に向かって垂れ下がっていたからだという。
外観からでもその異様な赤さが確認できたため、地元では「赤い部屋」として知られるようになった。
しかし現在、この建物は所有者により厳重に管理されており、全室には施錠がされている。
無断での侵入や物品の持ち出しは法律により禁じられている。
赤い部屋の心霊現象
赤い部屋の心霊現象は、
- 電気が通っていないにも関わらず、黒電話が鳴り響く
- 三面鏡に知らない人物が映り込む
- 赤ちゃんの泣き声が上階から聞こえてくる
- 建物内部からかすれた女の声が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
もっとも有名な現象は、電気が止められて久しいはずの赤い部屋にて、突然「ジリリリリ!」と黒電話が鳴り響くというものである。
その音は異常なまでに大きく、部屋中に反響するという証言もある。
実際に電話線が繋がっていないにも関わらず鳴るというこの現象は、過去にこの部屋で起きた出来事と深く関係しているとされている。
三面鏡に関する噂も不気味である。
この部屋に残されている古い三面鏡を覗くと、背後に誰もいないはずなのに知らない人物の姿が映り込むという。
なかには鏡の中の“その人物”と目が合ってしまい、恐怖のあまり逃げ出したという話もある。
また、この赤い部屋のあるアパートでは、夜になると上の階から赤ちゃんの泣き声が聞こえてくるという。
だが、当然現在そのアパートには人は住んでいない。
過去、上の階に住んでいた子供の泣き声に耐えきれず、ノイローゼになって自殺した男性がいたという話が残っている。
その後、子供の家族のもとに何度も無言電話がかかるようになり、やがてその家族も精神を病み、一家心中を遂げたという。
赤い部屋とは、この悲劇の家族が最後に暮らしていた場所なのである。
室内には火災の跡が残っており、壁や天井には黒い煤が染みついている。
当時の生活感を残すように、食器や紙片などが散乱しており、時間が止まってしまったかのような異様な空気が漂っている。
かつて存在していた赤いブラインドも、現在では確認できなくなっており、火災の際に焼け落ちたものと推測されている。
赤い部屋の心霊体験談
ある訪問者は、建物の中には入れなかったものの、外から建物を見ていた際に、確かに女のかすれた囁き声を耳にしたという。
静まり返った夜の中でその声は異常に浮き上がり、「本物だ」と直感したそうだ。
また、夜間に入り込もうと考えた者もいたが、周辺を地元住民が頻繁にパトロールしており、近づくことすら難しいという。
赤い部屋の心霊考察
この場所に残された数々の現象は、過去にこのアパートで起きた連鎖的な悲劇と深い関係があるように思われる。
まず、上階からの赤ちゃんの泣き声に悩まされ、自ら命を絶った男性の存在が、心霊現象の起点となっている可能性がある。
その後、無言電話に追い詰められた一家の精神的崩壊と心中。
その異常な精神状態が、「赤い部屋」という空間に強い負の念を残したのではないか。
黒電話が鳴るという現象は、過去の無言電話の記憶が霊的に再現されているとも考えられる。
三面鏡に映る謎の人物も、家族を追い詰めた“何か”の象徴なのかもしれない。
また、赤いブラインドの存在が消えてしまった点も、過去の象徴が時間と共に“現実”から消え、しかし“霊的”には今もなおその場に存在し続けていることを示唆しているようにも思える。
「赤い部屋」は、ただの廃墟ではない。そこに積み重ねられた“記憶”と“念”が、今なお人々を引き寄せ、恐怖を植え付け続けているのである。
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