徳島県吉野川市の高越山麓に佇む徳島県立山川少年自然の家には、閉鎖から年月を経た今も奇妙な噂が囁かれている。夜の停電と共に現れる幽霊、森に潜む天狗の目撃談、そして子どもの神隠しを思わせる不可解な出来事――今回は、徳島県立山川少年自然の家にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
徳島県立山川少年自然の家とは?

徳島県立山川少年自然の家(とくしまけんりつ やまかわしょうねんしぜんのいえ)は、徳島県吉野川市にかつて存在した学習宿泊施設である。
地元では「おこおっつぁん」の愛称で呼ばれ、神聖な山として知られる高越山(こうつざん)の山麓に位置していた。
1977(昭和52)年、小中学生に自然体験活動を提供する目的で開設された。
施設は男女別の宿泊棟がV字型に配置され、天体観測室やプラネタリウムまで備える充実ぶりであった。
宿泊室は2段ベッドの4人部屋が基本で、引率者用の個室もあったという。
徳島市では、小学5年生の宿泊訓練といえばこの施設であった。
訪れた子どもたちは、「童話の城に、僕らは来た/県立少年自然の家…」というテーマソングを歌い、高越山の自然と共に過ごす時間を胸に刻んだ。
しかし、利用者の減少と老朽化により、2006(平成18)年3月12日に閉鎖された。
2024年現在も建物は現存するが、駐車場周辺には草木が生い茂り、屋根は傷み、雨漏りも発生している。
割れた窓は板で塞がれ、廃墟と化しつつも最低限の管理は続けられている。
徳島県立山川少年自然の家の心霊現象
徳島県立山川少年自然の家の心霊現象は、
- 夜間、突然の停電と同時に幽霊が現れる
- 深夜、外を覗くと天狗の姿を見たという証言
- 子どもの神隠しがあったのではないかという疑惑
である。以下、これらの怪異について記述する。
夜の自然の家は、日中の賑やかさが嘘のように静まり返る。
その闇の中、急に全館が停電することがあったと証言されている。
突然の暗闇と共に、廊下の先に青白い光を放つ人影が浮かび上がり、誰もが息を呑んだという。
照明が復旧する頃には、その影は跡形もなく消えている。
また、深夜にふと窓の外を覗いた者が、森の中に異様に大きな鼻を持つ「天狗」の姿を見たという話もある。
その目は真っ赤に輝き、じっと宿泊棟を見つめていたとされる。
翌朝、そこには人の足跡とも動物の足跡ともつかぬ奇妙な痕跡が残されていた。
さらに一部では、施設利用中に行方不明になった子どもがいたのではないかという噂もあるという。
記録には残されていないが、夜間の点呼で一人足りず、必死の捜索の末、翌朝何事もなかったかのように戻ってきた児童がいたという証言があるというのだ。
その子は「山のおじさんに遊んでもらっていた」とだけ語り、それ以上は口を閉ざしたとされる。
徳島県立山川少年自然の家の心霊体験談
ある元利用者は、小学5年生の時の宿泊訓練で奇妙な出来事を体験している。
夜中、トイレに行くために廊下を歩いていたところ、天井の蛍光灯が一斉に明滅し、遠くから足音が近づいてきた。
振り返っても誰もいない。
足音はやがて背後に迫り、肩を叩かれた感触があったが、そこには誰も立っていなかったという。
翌朝、その廊下の窓ガラスには、外側から覗き込むように大きな手形がくっきりと残されていた。
徳島県立山川少年自然の家の心霊考察
この施設の立地は、高越山の山麓という霊的に重要な土地である。
高越山は古くから山岳信仰の対象であり、天狗伝説や神隠しの噂も多い。
そのため、天狗の目撃談や子どもの不可解な失踪は、土地の霊的背景と無関係ではないと考えられる。
また、急な停電と幽霊の出現という現象は、施設内に何らかの残留思念が漂っている可能性を示唆している。
閉鎖から十数年を経た今も、建物には子どもたちの笑い声や足音が染み付いており、それが夜の闇の中で形を持って現れるのかもしれない。
この地を訪れる者は、昼間の静けさに油断してはならない。
夜になれば、高越山の闇がすべてを包み込み、現世と異界の境界が曖昧になるのだ。
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