鳥取県鳥取市の山中にひっそりと佇む「鳥取陸軍墓地」。ここではかつて戦場へ赴き、命を落とした兵士たちが静かに眠っている。しかしその一方で、「夜中に軍靴の足音が響く」「兵士の霊が行進している姿を見た」といった数々の不可解な現象が報告されている。今回は、鳥取陸軍墓地にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
鳥取陸軍墓地とは?

鳥取陸軍墓地は、鳥取市の宮ノ下小学校裏山の中腹に位置し、1897(明治30)年に完成した旧日本陸軍の軍人墓地である。
正雲寺や無量光寺の所有地が陸軍省に献納され、歩兵第四十聯隊の戦没者を主として祀ってきた。
この地には、日露戦争・満州事変・日中戦争・太平洋戦争などで命を落とした数千人に及ぶ軍人の遺骨や遺髪が納められており、その多くは引き取り手もなく、合葬という形でひとつの碑の下に眠っている。
慰霊塔の裏には、戦没者の名前が刻まれているが、その文字の一部は削り取られており、かつての記念碑の再利用であるという不気味な歴史をもつ。
現在は県の管理下にあり、地元住民や自衛隊によって定期的に清掃されているが、草木に覆われたその姿は、時の流れとともに記憶からも人々の意識からも薄れつつある。
だが、この地には、今もなお静かに、あるいは時に激しく、何かが蠢いているという。
鳥取陸軍墓地の心霊現象
鳥取陸軍墓地の心霊現象は、
- 夜中に兵士の霊が目撃される
- 軍靴のような足音が耳元で響く
- 隊列を組んで行進するかのような振動が地面から伝わる
- 墓前で突然冷気に包まれる
である。以下、これらの怪異について記述する。
夜中に兵士の霊が目撃される
特に深夜、無数の墓碑の間に立つと、人影がふと視界の端に現れる。
軍服姿の男がこちらをじっと見つめていた、という証言は少なくない。
その霊は、目が合うとスッと消えるが、消えた場所に足を踏み入れると、異様な重さが身体にのしかかるという。
軍靴のような足音が耳元で響く
夜になると、誰もいないはずの墓地に「ザッ、ザッ、ザッ……」という規則的な足音が響く。
まるで何十人もの兵士が一糸乱れぬ行進をしているかのようであり、耳元で足音が止まり、振り返ると誰もいないという。
隊列を組んで行進するかのような振動が地面から伝わる
霊の目撃と同時に、「地面が揺れた」「足元から鼓動のような振動を感じた」という証言もある。
重厚な軍靴の踏みしめる感覚が、まるで戦時中の行進そのものを蘇らせているようである。
墓前で突然冷気に包まれる
真夏でも、墓前に立つと突如として冷気が流れ込んでくると語る者がいる。
呼吸が白くなり、霊圧とも言えるような圧力が首筋にまとわりつくという。
霊に歓迎されているのか、それとも警告を発しているのかは、誰にも分からない。
鳥取陸軍墓地の心霊体験談
ある夜、好奇心から墓地を訪れた男性がいた。彼は懐中電灯を手に、無縁仏の墓碑に手を合わせていたという。
しかし、背後から突然「番号っ!」と鋭い号令が響き、驚いて振り返るも、誰もいない。
ただ、遠ざかる軍靴の音だけが残響のように山中へ消えていった。
別の女性は、旧軍人の家系で、慰霊に訪れた際に白い軍服の男が斜面の木陰からこちらを見ていたと語った。
視線を外し再び見ると、そこには誰もおらず、だが空気だけが一変していたという。
鳥取陸軍墓地の心霊考察
この墓地が心霊スポットとして知られる背景には、2,000を超える兵士の魂が、未だ安らぎを得られていない可能性がある。
遺族が知らぬまま分骨された骨壺、誰にも語られず葬られた兵士たちの無念は、この地に染みついている。
特に、軍隊という厳格な上下関係と規律の中で死を迎えた者たちは、死後もその秩序の中に囚われ、隊列を守り、号令に従う霊体として現世に残っているのかもしれない。
墓地全体が一つの霊的部隊として機能しているような、不気味な一体感すら感じさせる。
戦争という非業の死を遂げた彼らが、いまだに「帰還」できていないのだとすれば、我々がその声なき声に耳を傾けることが、唯一の供養なのかもしれない。
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