福岡県糸島市の山中にひっそりと佇む筒城神社跡。この地には、戦国時代の争乱と修験の歴史が色濃く残っており、今もなお“霊の気配”が絶えないと噂されている。今回は、筒城神社跡にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
筒城神社跡とは?

筒城神社跡は、福岡県糸島市、雷山の北側斜面に位置する神社の跡地である。
この地にはかつて「雷山城」と呼ばれる古代山城が存在していた。
雷山城は、天智2年(663年)、日本と百済の連合軍が白村江の戦いで唐・新羅連合軍に大敗したのち、大陸からの侵攻を恐れて築かれた防衛拠点の一つとされる。
さらにこの場所には、室町から戦国期にかけて「筒城」と呼ばれる城が築かれていた。
この城を守っていたのは原田氏の家臣・西重国であるが、後に西氏が原田氏に反旗を翻したため、永禄10年(1567年)に原田氏の攻撃を受け滅亡したという記録が残る。
筒城神社跡は、まさに血と戦乱の歴史が折り重なる地であり、その静けさの裏に、今なお過去の亡霊が彷徨っていると囁かれている。
筒城神社跡の心霊現象
筒城神社跡の心霊現象は、
- 男性の霊が出現する
- 誰もいないのに声が聞こえる
- 白くぼやけた人影が現れる
- 石碑の周辺で気配を感じる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず目撃情報として多いのが、戦国武士のような装束の男性の霊である。
昼夜を問わず、神社跡の石碑付近に突然現れ、無言のまま立ち尽くしているという。
姿は朧げでありながら、鋭い視線だけは異様に強く、目を逸らせなくなるという。
次に語られるのは、声の怪異である。山道を登る最中、または神社跡の石段のあたりで、誰もいないはずの空間から「こっちだ」「まて」といった低くくぐもった声が聞こえるという。
多くの目撃者が、その声に導かれるように奥へ進んでしまい、気づけば道に迷っていたとも証言している。
また、白い人影の出現も報告されている。それは人の形をしているが、足元がぼやけ、まるで空中を浮いているように見える。
特に夕暮れ時、北水門付近での出現が多く、地元では「水門の霊」とも呼ばれている。
さらに、この地を訪れた者の中には、石碑の周囲に「じっと見られている感覚」を覚えたと語る者も多い。
霊感がない者でも、空気の張りつめ方が異常で、鳥のさえずりすら止む瞬間があるとされる。
筒城神社跡の心霊体験談
実際に筒城神社跡を訪れた男性(40代)は、こう証言している。
「夕暮れ時に訪れたときのことです。石碑の前に立つと、突然耳元で“戻れ”という声が聞こえたのです。もちろん、誰もいませんでした。慌ててその場を離れようとしたところ、目の前の林に白い人影がふわりと現れたのを目撃しました。目を凝らした瞬間、それはスッと消えてしまいましたが…その夜、高熱を出して寝込みました。」
また、別の若いカップルは、夜の肝試しで訪れた際に、写真を撮ったところ背後に甲冑姿の男が写っていたという。
帰宅後、写真を確認すると、その男はカメラ目線でこちらを睨んでいたと語っている。
筒城神社跡の心霊考察
筒城神社跡に現れる霊は、戦国時代にこの地で討たれた武士たち、あるいは修行に明け暮れ非業の死を遂げた僧の魂である可能性が高い。
雷山一帯はかつて、真言密教の一大道場として栄え、308もの僧房が存在していた。
霊が宿りやすいとされる宗教的聖域である上に、戦乱によって命を落とした者の怨念が交差する地であることを考えれば、この地に未浄化の霊が集まりやすいのも道理である。
また、筒城神社跡周辺は、古代より神籠石などの巨大石造構造物が点在し、城郭としての役割以上に、神域としての力を宿していた可能性もある。
その神聖さと悲劇が重なった場は、今なお異界への門として口を開いているのかもしれない。
静寂に包まれた山間の神社跡で、耳をすませば今もなお、「そこにいるはずのない者たち」の息遣いが聞こえてくるという。
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