長崎県南島原市に存在する「1HOUR」と呼ばれる謎の廃墟。施設の用途や歴史が一切不明であり、今もなお詳細が解明されていない不気味な場所として知られている。地元では、不可解な音や人影の目撃が相次ぎ、心霊のウワサが絶えない。今回は、1HOURにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
1HOURとは?

1HOURとは、長崎県南島原市(旧・南高来郡深江町)に存在する通称であり、その正体が今なお不明の廃施設である。
複数の建物が細長い渡り廊下で接続され、空中写真ではその敷地内に数隻のボートが放置されているのが確認されている。
1975年の時点でもこの場所には建物が存在していたが、現存する構造物は1980年代から1990年代にかけて建てられたものと見られる。
2013年には比較的綺麗な状態であり、施設入口と思われる箇所には「DPE」および「1HOUR」の文字が掲げられたゲートのような構造物が存在していた。
加えて、奇妙なマスコットキャラクターが描かれていたことも確認されている。
しかし、2022年にはこれらの痕跡が撤去され、代わりに錆びたトタン屋根に覆われた陰鬱な外観へと変貌している。
電話帳などの記録にも存在は見られず、施設の目的・開業年・廃業年のいずれも不明である。
廃業後、資材置き場や倉庫として転用された可能性もあるが、現在は完全な放棄状態となっており、敷地内の建物は屋根が大きく崩れ落ち、周囲には草木がうっそうと生い茂る。
人の気配が絶えて久しい、まさに“忘れられた場所”である。
1HOURの心霊現象
1HOURの心霊現象は、
- 建物の奥から子どもの声が聞こえる
- 夜になると、ゲート跡に人影が立ち尽くしている
- 誰もいないはずの空き地からボートの軋む音がする
- 内部で“カートが走る音”のようなものが聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず奇怪なのは、建物の奥から聞こえてくる「子どもの声」である。
耳を澄ませば、笑い声とも泣き声とも判別しがたい幼い声が空間を彷徨うように響くという。
訪れた者の多くが、まるで目に見えない“誰か”に呼ばれているような錯覚に陥ると語っている。
夜になると、崩れた屋根の向こう、かつて「DPE」や「1HOUR」の文字が掲げられていたゲート跡に“人影”が現れる。
街灯もない真っ暗な空間に、突如としてぼんやりと浮かび上がるシルエット。
その姿は決して動くことはなく、ただ黙ってこちらを見つめているという。
また、裏手の空き地では誰もいないにもかかわらず、「ボートが軋む音」が風もない夜に鳴り響くことがある。
金属同士がこすれるようなその音は、ただの自然現象とは思えないほど生々しく、何かがそこに“在る”ことを無言で訴えかけてくるようである。
さらに不可解なのは、建物内部で時折響く「カートの走行音」である。タイヤがコンクリートを削るような音と、エンジンのうなり。
施設が遊戯施設であったという推測を裏づけるかのようなこの現象は、まるで過去の記憶が残響として空間に刻まれているかのようである。
1HOURの心霊体験談
ある地元の若者グループが肝試しに訪れた際の話である。
夜11時過ぎ、ゲート跡の前でスマホをかざして写真を撮影した直後、彼らの一人が突然「耳元で何か囁かれた」と叫び、恐慌状態に陥ったという。
仲間たちがその場から退避しようとしたとき、今度はボートのある空き地から「ギィ…ギィ…」という音が聞こえ始めた。
逃げ出す彼らの背後では、確かに誰かが「走って追いかけてくる足音」がしていたと証言している。
しかし、振り返っても誰の姿もなかったという。
1HOURの心霊考察
1HOURの心霊現象は、かつてこの地に存在していた“何か”の記憶が染みついたものではないかと考えられる。
建物の形状や看板の記述、ボートの存在から、元々はレース用カートを扱った遊戯施設であった可能性が高い。
しかし、開業から廃業までの記録が一切残っておらず、地元住民の記憶からも薄れつつある点が、不気味さを一層強調する。
忘れられた場所には、忘れられた“声”が取り残されているのかもしれない。
「DPE」の正体が仮にDrew Price Engineeringの略であったとしても、なぜボートが空き地に無造作に放置されているのか、その理由は依然として謎に包まれている。
物理的な廃墟の存在と、精神的な“残留思念”が交錯するこの場所では、過去が現在に干渉してくるような、奇妙な時間の歪みすら感じられる。
1HOURは、ただの廃墟ではない。
忘れ去られた記憶と、消えた人影たちが今もなお彷徨い続ける“時の墓場”なのかもしれない。
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