鳥取県米子市に位置する米子城跡には、恐ろしい心霊話が語り継がれている。深夜、甲冑を纏った武者たちの行列が現れるというのだ。さらには、築城の際に生贄とされた娘「お久米」の霊が、天守閣跡の石垣に佇む姿も目撃されている。今回は、米子城跡にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
米子城跡とは?

米子城跡は、鳥取県米子市湊山に位置する山城の遺構である。
築城の歴史は古く、1467年から1487年の間に山名宗之が飯山に砦を築いたのが始まりとされる。
その後、1591年に吉川広家が現在の湊山に本格的な築城を開始。
しかし、関ヶ原の戦い後に吉川氏は岩国へ転封となり、代わって中村一忠が城主となり築城を続けた。
最終的に米子城は池田氏の支配下に入り、幕末まで米子藩の拠点として機能した。
しかし、この城には戦乱の歴史が色濃く刻まれている。
戦国時代には何度も落城し、多くの武士が命を落とした。
そして、築城の際には数々の奇怪な出来事が発生し、ついには人柱が立てられたという。
今もなお、城跡には戦死者の無念と人柱の怨念が漂い、恐怖の噂が絶えない。
米子城跡の心霊現象
米子城跡では、以下のような心霊現象が報告されている。
- 深夜、甲冑を纏った武者の行列が現れる
- 天守閣跡の石垣に、白い着物の女性が立っている
- 城跡の頂上で、人の気配を感じるも誰もいない
- 足音や話し声が聞こえるが、姿は見えない
- 夜中に石垣の近くでうめき声が聞こえる
これらの怪異について、以下に記述する。
甲冑を纏った武者の行列
戦国時代、米子城は何度も攻防戦の舞台となった。
特に永禄12年(1569年)、尼子氏の遺臣・山中幸盛が米子城主の山名之玄と結び、毛利氏の吉川元春と対峙した戦いでは、多くの武士が討ち死にした。
城は落ち、山名之玄は自害。
以来、深夜になると甲冑を纏った武者たちの列が、山道を静かに行進する姿が目撃されるという。
無言のまま歩を進める彼らの顔は青白く、足元は地面に触れていない。
目撃者によると、その場に留まっていると、次第に行列がこちらへと向かってくるのだとか……。
天守閣跡の石垣に現れる女性の霊
米子城築城の際、天守の石垣が何度も崩れたため、人柱が立てられた。
生贄となったのは、町の盆踊りに参加していた美しい娘「お久米」。
彼女は突然、男たちに連れ去られ、生きたまま石垣の中へと埋められた。
以来、天守跡の石垣では、白い着物を纏った女性の姿が佇んでいるのが目撃される。
近づこうとすると、ふっと消えるが、立ち去ろうと背を向けた瞬間、耳元で「……助けて」と囁く声が聞こえるという。
頂上で感じる不気味な気配
米子城跡の頂上は、昼間こそ景色の良い観光スポットだが、夜になると様相が一変する。
誰もいないはずなのに、背後から視線を感じる。気配の主を探しても、そこには誰もいない。
とある登山者は、夜の城跡で休憩していると、肩を叩かれたという。
しかし、周囲には誰もおらず、振り向いた瞬間、背後から冷たい息がかかったと証言している。
足音や話し声が聞こえる
城跡の石段を登る最中、自分の足音とは別の足音が聞こえてくるという話は後を絶たない。
また、頂上で一人でいるにもかかわらず、複数人の話し声が聞こえ、振り向くと誰もいないという現象も報告されている。
石垣近くで聞こえるうめき声
人柱伝説が残る石垣の近くでは、夜になると低いうめき声が響くという。
ある者は、それを聞いた瞬間、全身に寒気が走り、石垣の影から白い手が伸びてきたのを目撃したと語っている。
米子城跡の心霊体験談
これは実際に米子城跡で体験した人物の証言である。
夜中、数人の友人と共に米子城跡を訪れた彼らは、酒が入っていたこともあり、軽い肝試しのつもりだった。
しかし、山を登るにつれて、異様な寒気を感じるようになったという。
頂上に着いたとき、案内板の前におじいさんとおばあさんの影が見えた。
「こんな時間に?」と思いながら近づこうとした瞬間、遠くから「カツ、カツ、カツ……」と甲冑の音が響き始めた。
次第にその音は増え、気がつくと目の前に無数の武者が整列していた。
全員が無言のまま、じっと彼らを見つめている。
次の瞬間、意識が途切れ、目が覚めると朝になっていた。
動けないまま夜を明かし、ようやく正気を取り戻した彼らは、一言も話さずにその場を後にしたという。
「もし動いていたら、あの世へ連れて行かれていたのではないか…」
彼らは口々にそう語った。
米子城跡の心霊考察
米子城跡に現れる武者の霊は、戦国時代の落城で命を落とした者たちの怨念が形を成したものなのだろうか。
また、お久米の霊は、理不尽に命を奪われた無念の象徴といえる。
城跡に残る数々の怪奇現象は、ただの噂ではなく、歴史に刻まれた悲劇が生み出した現象かもしれない。
米子城跡へ行くならば、決して夜には近づかないほうが良い。
何かを見てしまったら……もう、二度と帰れないかもしれない。
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