北海道の秘境・然別湖には、かねてより不気味な心霊のウワサが囁かれている。夜になると湖の水面から手が現れたり、少年の霊が姿を見せたりと、数々の怪異が報告されているのだ。今回は、然別湖にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
然別湖とは?

然別湖(しかりべつこ)は、北海道十勝管内の鹿追町北部と上士幌町南西部にまたがる湖である。
標高810mに位置し、北海道で最も標高の高い湖として知られる。
周囲は東大雪山系の山々に囲まれ、冬季には全面が氷結する。
この湖は、火山の噴火によってヤンベツ川が堰き止められたことで生まれた堰止湖であり、その成り立ちは自然の力による壮大なものである。
湖内には「弁天島」と呼ばれる小島があり、鳥居が建てられている。
また、湖の西岸には然別湖畔温泉が存在し、観光地としても人気を博している。
しかし、こうした美しさの裏側には、かつてより語り継がれてきた数々の怪異が潜んでいる。
然別湖の心霊現象
然別湖の心霊現象は、
- 湖から手が出てくるという目撃情報
- 少年の霊が出没するという噂
- 湖で身を投げた者が浮かび上がらないという伝承
- 近隣のホテルで自殺者が出た後、霊が現れるとの証言
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名な怪異は、湖面から突如として現れる手である。
深夜、水面を見つめていると、そこからぬっと手が突き出されるという。
しかも、その手はまるで誰かを掴もうとするかのように、ゆっくりと動くというのだ。
この現象と並んで語られるのが、少年の霊である。
姿を見かけたという証言は少なくないが、彼が何者なのか、その素性については一切不明である。
目撃者によると、彼はじっと湖を見つめており、声をかけるとふっと消えてしまうという。
さらに、然別湖には「この湖で身を投げた者は二度と浮かび上がってこない」という伝説がある。
遺体は決して発見されず、行方知れずのままという。
だが、夜になると湖畔をさまよう霊の姿が見られ、水面から手を伸ばすなどの現象と重なる点が多く、関連性が指摘されている。
加えて、湖の近くに位置するホテルでは、従業員の自殺が過去にあったという噂がある。
以来、夜中になると部屋の中に誰もいないはずの人影が現れたり、鏡の中に知らない顔が映り込むという証言が後を絶たない。
然別湖の心霊体験談
ある修学旅行で然別湖を訪れたという女性は、宿泊先のホテルで恐怖の一夜を体験した。
夜の0時を過ぎた頃、障子の向こうから何かを丸めるような「カサカサ」という音が聞こえ、やがて畳をすり足で歩く音が近づいてきたという。
極めつけは、どこからともなく聞こえてくる男のうめき声だった。
翌朝、恐る恐るカーテンを開けると、窓の外には無数の手形が付いていた。
誰も入れるはずのない狭いスペースであるにも関わらず、外側からの手形だったという事実に、背筋が凍る思いがしたという。
また、地元の住民の中には「手が出ていた」という簡潔ながらもリアルな目撃証言を語る者もいる。
さらに、然別湖の近くにある旅館に宿泊した知人が「幽霊を見た」という話もあり、然別湖周辺が“出る場所”として知られていることを裏付けている。
然別湖の心霊考察
然別湖にまつわる心霊現象は、湖そのものに刻まれた歴史と密接に関係していると考えられる。
火山の活動により偶然形成された湖ではあるが、長い年月の中で幾人もの命がこの湖に吸い込まれていったことは想像に難くない。
とりわけ、「浮かび上がってこない」という噂や「湖から手が出てくる」という証言は、水難事故や自死による無念の感情が未だにこの地に留まり続けていることを示唆している。
また、湖畔のホテルでの怪異も、単なる偶然ではなく、土地そのものに何かが宿っている可能性を匂わせる。
少年の霊に関しても、彼が何らかの事故や事件に巻き込まれた過去があるとするならば、彼の姿は警告のようなものかもしれない。
すなわち、然別湖は単なる自然の名所ではなく、「見てはいけないものが今も存在している場所」なのかもしれないのである。
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