福岡県八女市に位置する「耳納大橋」には、投身自殺や殺人事件といった凄惨な過去が残されており、現在では数々の心霊現象が報告されているという。今回は、耳納大橋にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
耳納大橋とは?

耳納(みのう)大橋は、福岡県八女市の山中にひっそりと架かるアーチ橋である。
県道798号線と県道800号線をつなぐ交通路であり、通称「下横山東西線」に位置している。
完成は1995年。谷底から路面まではおよそ60メートルに及び、橋の上から見下ろせば、足がすくむような高さである。
標高約500メートル、耳納連山の西端近くという場所に建てられたこの橋は、交通量が非常に少なく、訪れる者もまばらである。
静まり返った橋上には風の音と鳥の鳴き声が響くのみで、人の気配が途絶える時間が長い。
そんな耳納大橋には、数々の陰惨な出来事が重なっており、今では心霊スポットとして知られるようになった。
耳納大橋の心霊現象
耳納大橋の心霊現象は、
- 橋の欄干付近に男性の霊が現れる
- 自殺者の霊が橋の上をさまよっている
- 夜になると、誰もいないはずの場所から足音が聞こえる
- 事件の被害者と思しき女性の悲鳴が聞こえることがある
である。以下、これらの怪異について記述する。
耳納大橋では、かつて幾人もの者が投身自殺を遂げたとされる。
60メートルという高さは、人の命を一瞬で奪うに十分であり、誰にも気づかれることなく深い谷底へと吸い込まれていく。
とくに夜間、橋の中央付近に佇む男性の姿が幾度となく目撃されている。
その男は無言で立ち尽くし、こちらを見ているわけでもなく、ただ谷底をじっと見下ろしているのだという。
そして、その姿に近づこうとすると、突如として消えてしまう。
また、この橋では2015年4月29日未明、凄惨な事件が起きた。
加害者は元風俗店従業員の女。被害者はその知人女性。
恋愛関係のもつれから犯行に及び、被害者に睡眠薬を盛ったうえで、耳納大橋から突き落とし、殺害したのだ。
誰もいない山中、深夜の橋上で行われた冷酷な殺意。
命を絶たれた女性の無念と恐怖は、橋の上に染みついたまま離れることなく残り続けている。
以降、この橋では女性のすすり泣く声や、悲鳴のような音が頻繁に聞こえるといわれる。
深夜に一人で橋を渡った者の中には、「誰かに後ろから突き飛ばされそうな気配を感じた」と証言する者もいる。
耳納大橋の心霊体験談
ある地元住民は、夜釣り帰りに耳納大橋を通った際、前方に人影が見えたという。
深夜2時。こんな山奥に人が立っているはずがない。
不審に思って車のライトを向けたその瞬間、人影は霧のように消えた。
また別の若者グループは、肝試しに訪れたところ、橋の中央で突然車のエンジンが止まり、窓の外から無数の手形が浮かび上がったと語っている。
慌ててエンジンを再始動し、橋を渡りきったが、後日その中の一人が原因不明の高熱にうなされ、数日間うわごとのように「押された」「突き落とされる」と繰り返していたという。
耳納大橋の心霊考察
耳納大橋にまつわる心霊現象は、投身自殺者の霊や殺人事件の被害者の怨念と密接に関わっていると考えられる。
特に、自殺の名所と化した背景には、橋の異常なまでの静けさと高さがある。
人里離れた山中に架かるその構造は、絶望を抱えた者にとって、最期の地として選ばれやすい。
また、突き落とすという事件の性質上、被害者は何の抵抗もできず、暗闇の中で恐怖に包まれながら命を絶たれた。
こうした非業の死は、怨霊を生むと古くから語られてきたが、耳納大橋もまた、その典型と言えるであろう。
人が立ち入らない静寂の中に、過去の無念が渦巻いているのが耳納大橋なのである。
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