北九州市若松区に位置する頓田貯水池は、自然豊かな憩いの場として知られる一方で、古くから数々の怪異が噂されてきた心霊スポットでもある。今回は、頓田貯水池にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
頓田貯水池とは?

頓田貯水池は、北九州市若松区に位置する貯水施設であり、遠賀川の水を汲み上げて整備された人工池である。
池の周辺は緑地に囲まれ、サイクリングやランニングを楽しむことができる自然豊かな空間として知られている。
池の北側には約200ヘクタールに及ぶ響灘緑地が広がり、大芝生広場やバラ園、冒険の森といったレジャー施設も整備されている。
また、池を横断する道路や排水処理場、日吉神社などが点在し、利便性と自然が融合したエリアである。
しかし、こうした明るい表情の裏側には、かつて命を落とした者たちの怨念が今もなお彷徨っているという、忌まわしい噂が囁かれている。
頓田貯水池の心霊現象
頓田貯水池の心霊現象は、
- 女性の霊が出没する
- 誰もいないはずの場所で足音が聞こえる
- 赤い光のような人魂が飛び交う
- 心霊写真に人の顔や首が写り込む
である。以下、これらの怪異について記述する。
頓田貯水池で最も有名な噂のひとつが、「かえで橋」とも呼ばれる赤い橋にまつわるものである。
この橋は、第二貯水池に架かる構造物であり、過去にここから身を投げて命を絶った人物がいるという話がある。
また、かつてこの池で溺れ死んだ小さな女の子の霊が目撃されており、いずれも痛ましい死が土地に染み込んでいる。
夜釣りで訪れた者の多くが、誰もいないはずの背後から足音を聞いたと証言している。
その足音はまるで、誰かが湿った土を踏みしめながら、じわじわと近づいてくるかのような、重く不気味な響きであったという。
また、池の周辺では「赤い光」がふわふわと浮遊しているのを見たという報告が後を絶たない。
この光は人魂とされ、筆者もまた、それを目撃した経験を持つ。夜の池畔に、説明不能な赤い閃光がひらひらと舞い、気づけば足元の水面に消えていったという。
写真を撮影すると、人影や生首のようなものが写り込むケースもあるという。
人の気配がないはずの場所で、カメラのシャッターを切った瞬間、画面に浮かび上がるのは得体の知れぬ顔――それはまるで、ここに来てはいけなかったと警告するかのようである。
さらに、草むらが誰もいないのにざわめき出す現象も報告されており、まるで誰かがそこを歩いているかのように草が揺れるというのだ。
頓田貯水池の心霊体験談
ある青年は、友人とともに頓田貯水池を夜に訪れた。
青い吊り橋を渡った先にある獣道を進んでいくうち、彼は自分にだけ聞こえる女性のうめき声を耳にしたという。
出発前に「ここで女性が亡くなった」という噂を聞いていたこともあり、彼の頭の中にはその霊の存在が明確に浮かび上がっていた。
そしてその夜、帰宅後に一人で外を歩いていたところ、誰もいないはずの背後から「誰かの手」が彼の背中に触れた。
彼は今でも、その時の冷たい感触を忘れることができないという。
また、ある学生は「玄海青年の家」に合宿で泊まった際、肝試しで頓田の赤い橋を渡ることになった。
皆が楽しんでいる中、ひとりの少女だけが異常な怯えを見せていた。
不審に思った学生が話しかけると、少女は震えながら「あそこに人が立ってる」と指を差した。
しかし、その指先に映るものは、他の誰の目にも見えなかったのである。
頓田貯水池の心霊考察
頓田貯水池にまつわる数々の怪異は、偶然の産物とは言い難い。
赤い橋からの投身や少女の水難事故といった、明確な死の履歴が残るこの地には、強い未練や悲しみといった感情が染み付いている。
また、池の周辺は鬱蒼とした木々に囲まれ、昼間であっても視界が悪く、人気のない場所も多い。
特に小学校の裏手にある曲がりくねった小道は、昼でも背筋が凍るような空気が漂っており、地元では「出る場所」として恐れられている。
頓田貯水池は、ただの貯水施設ではない。自然に隠された死者たちの声なき叫びが、今なお訪れる者の背後に忍び寄る。
たとえ釣りや散策が目的であっても、軽い気持ちでこの地を踏み入れることは、決して勧められないのである。
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