島根県松江市美保関町に、異国情緒を漂わせる白亜の廃ホテルがある。その名は「ホテルアメリカ」。2000年頃に閉業し、今では朽ち果てたその建物には、血塗られた事件の噂と共に、白い服の女の霊が出るという怪談が語り継がれている。今回は、ホテルアメリカにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
ホテルアメリカとは?

ホテルアメリカは、1982年に島根県松江市美保関町に開業したモーテルタイプのラブホテルである。
その建築は一風変わっており、アメリカという名称にもかかわらず、白亜の壁とドーム型の尖塔を備えたアラビア風の外観が特徴であった。
L字型の二階建て構造をしており、部屋ごとに異なる内装が施され、回転ベッドを備えた特別室も存在したという。
長年にわたり何度か所有者が変わったが、2000年11月頃を最後に営業を終了したとされている。
廃業以降は放置され、2023年時点では窓ガラスは割れ、壁には蔦が絡み、内部は落書きで覆われるなど荒廃が進んでいる。
2025年現在も建物は現存しており、内部には多数のコウモリが棲みついているという。
ホテルアメリカの心霊現象
ホテルアメリカの心霊現象は、
- 白い服を着た女性の霊が現れる
- 血痕が残された部屋が存在すると噂される
- 夜になると誰もいない建物内から話し声が聞こえる
- 写真を撮ると必ずといっていいほど心霊と思われる影が映り込む
である。以下、これらの怪異について記述する。
最も有名な心霊現象は、白い服を纏った女性の霊が現れるというものである。
彼女は建物の外に佇むこともあれば、窓の内側からじっとこちらを見つめていることもあるという。
訪れた者の証言によれば、その目には強い怒りが宿っていたとも語られている。
また、ホテルの一室には、今なお落ちきらない血痕が残っているという噂がある。
その部屋では、かつて殺人事件があったという都市伝説が囁かれており、被害者の性別や事件の詳細は一切不明であるが、「何か」が起きたのは間違いないとされている。
血の気配と共に、部屋に入った者の背後から視線を感じることが多く、異様な寒気を覚えるという証言もある。
さらに夜になると、廃墟内から人の話し声が漏れ聞こえるという報告が後を絶たない。
だが当然ながら中に人影はない。録音を試みた者は多数いるが、録音機器が突然故障したり、奇妙なノイズが混じるなどのトラブルに見舞われることが多い。
写真を撮ると、必ずといってよいほど何かしらの黒い影が写り込む。中には人の顔のようなものがはっきりと映っていたという報告も存在する。
ホテルアメリカの心霊体験談
2024年夏、廃墟マニアの若者二人が、深夜にホテルアメリカを訪れたという。
彼らは懐中電灯を片手に内部を探索し、件の血痕の部屋を見つけた。
すると、突然背後でドアが軋む音が響き、誰かが部屋の外に立っているような気配を感じたという。
慌てて写真を数枚撮り、現場を離れたが、後日その写真には、天井から逆さに覗き込むような女の顔がはっきりと写っていたとされる。
その後、彼らは数週間にわたり謎の体調不良や悪夢に悩まされることとなったという。
ホテルアメリカの心霊考察
ホテルアメリカで囁かれる霊の正体については、多くの推測が存在する。
未解決の殺人事件が実際にあったのか、それとも訪れた者の恐怖心が生み出した幻影なのか、真相は闇の中である。
ただ一つ確かなのは、この廃ホテルには「普通ではない何か」が存在しているという点である。
心霊現象の多くは過去の事件や感情の痕跡に由来するとされる。
ホテルアメリカの場合、贅を尽くして造られた空間が、時の流れとともに忘れ去られ、人知れず恐怖の舞台へと変貌していった。
その変化の中で、何者かの想念が建物に染み込み、現在もなおそこに留まり続けているのではないだろうか。
軽い気持ちで足を踏み入れるには、あまりにもリスクが大きい場所であることは確かである。
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