岡山県倉敷市、由加山の麓にかつて存在した廃屋「御札の家」。外壁や室内の至るところに貼られた無数の御札、そこで囁かれる白い影や謎の声、不運に見舞われた訪問者たち――。今回は、御札の家にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
御札の家とは?

御札の家は岡山県倉敷市児島由加、由加山の麓にかつて存在した二階建ての古びた空き家である。
外壁や室内の至るところに御札が貼られていたことから「御札の家」と呼ばれるようになり、地元や心霊マニアの間で語り草となっていた。
実際には、旧天地教が管理していた宗教施設の本部であり、その後近隣へ移転したため長らく空き家となっていた。
2022年2月までに解体され、現在は現存していない。
しかし、この家にはいつしか奇怪な噂がつきまとい始めた。
由加山という由緒ある神社のすぐ傍であったことも、神隠しや怨念といった怪異譚を助長する一因となったのだろう。
御札の家の心霊現象
御札の家の心霊現象は、
- 白い影や得体の知れぬ霊が現れる
- 耳元で「入るな」という不気味な声がする
- 家に入った者が帰宅後、不運に襲われる
- 霊感の強い者はめまいや吐き気を訴える
である。以下、これらの怪異について記述する。
夜の御札の家では、暗闇の中に白い影がふわりと浮かび上がると噂されていた。
その影ははっきりと人の形をしているにもかかわらず、近づくと掻き消えるように消えてしまうという。
また蔵の二階へ上がろうとすると、どこからともなく「入るな」という低い声が耳元で響いた例もある。
蔵には三つの長持ちのような木箱が置かれており、その蓋を開けた者は、中に布団と共に側面にびっしりと経文らしき文字が書かれているのを目撃している。
それを見た者は「まるで親子三人の棺桶のようだった」と口をそろえて語った。
さらにこの家に足を踏み入れた者の中には、帰宅後に謎の高熱を出したり、交通事故に遭った者までいた。
霊感の強い者は家の敷地に近づくだけで頭痛やめまいを訴え、その場から立ち去らざるを得なかったという。
御札の家の心霊体験談
もう十年以上前の話になるが、筆者の知人の姉が友人たちと御札の家へ肝試しに行った帰り、交通事故に遭い命を落とした。
それ以前は特に事故などとは無縁の生活を送っていた人間である。
もちろん偶然と言い切ることもできよう。
しかし、その場に同行した友人たちも立て続けに病気や不運に見舞われたと聞く。
この話を耳にしてから、軽い気持ちで心霊スポットへ赴くことの恐ろしさを痛感したものである。
御札の家の心霊考察
御札の家は元を辿れば宗教施設の一部であり、屋内外に無数の御札を貼ることで神仏の加護を得ようとしていたものと思われる。
だが長年放置され、廃墟となり、やがて人の恐怖心を呼び覚ます舞台装置と化していった。
ネット上では「一家心中があった」「当主が家族を惨殺した」などと流布されたが、これらは広島の同名の家や創作怪談との混同、あるいは蔵に残された三つの木箱の不気味な様子が尾ひれをつけた結果である可能性が高い。
しかし、それだけでは説明がつかないほど、この家には多くの心霊体験談が存在する。
単なる噂にすぎないはずの場所で、なぜ人は白い影を見、声を聞き、命を落とす者まで出てしまったのか。
その理由を推し量る術はない。
ただ一つ確かなのは、既に解体された今もなお、この家に纏わる不気味な話が尽きることはないという事実である
コメント