広島県呉市にある二級ダムは、戦時中からの長い歴史を持つ多目的ダムであるが、同時に数々の怪異が語り継がれる心霊の舞台でもあるという。今回は、二級ダムにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
二級ダムとは?

二級ダム(にきゅうダム)は、広島県呉市を流れる二級河川・黒瀬川本流の中流部に築かれた重力式コンクリートダムである。
高さは32メートルに及び、広島県と中国電力が共同で管理している。
1942年(昭和17年)、呉市および呉海軍工廠への上水道供給や電力供給を目的に、広島県・日本発送電・大日本帝国海軍によって行われた河川総合開発事業の一環として建設された。
その後、長らく呉市の重要な水源として機能していたが、黒瀬川の水質汚濁に伴い1997年(平成9年)に上水道としての利用は廃止された。
なお、広島県内では本庄ダム(二河川)に次いで歴史の古い多目的ダムであり、戦時中から続く長い歴史を持つ。
二級ダムの心霊現象
二級ダムの心霊現象は、
- 男性の霊が現れる
- 周辺で心霊現象が頻発するという噂
- 慰霊碑や墓地の存在が不気味さを増長する
- だれもいないのに肩を叩かれる体験
- 写真に不可解なものが写り込む
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、最も語り継がれるのは「男性の霊が現れる」という話である。
夜のダム周辺を訪れた者が、水辺を歩く人影を見たが、一瞬目を逸らした隙に忽然と消えたという。
さらにその男性の姿は、どこか軍服のような服装をしていたという証言もあり、戦時中の歴史と符合するようで不気味さを際立たせている。
また、このダム周辺では「二級ダムが心霊スポット」という単純なものではなく、「二級ダム周辺で心霊現象が頻発する」と言われる。
ダムに隣接するトンネルでは、工事中に土砂崩れが起こり、生き埋めとなった犠牲者の慰霊碑がひっそりと佇んでいる。
上には墓地もあり、死者の存在を常に感じさせる。
さらには、公衆トイレも妙に生臭い空気を漂わせており、かつて何らかの事件が起きたのではないかと噂されている。
この場所を利用した人が、理由もなく背筋に悪寒が走ったと語ることも珍しくない。
もっとも奇妙なのは、誰もいないはずの場所で突然肩を叩かれたという体験談である。
しかもそれが真昼間に起きたというから恐ろしい。昼間であれば安心だという常識を、二級ダムはあざ笑うかのようである。
また、ただ車の中から写真を撮っただけで、何か不可解な影が写り込んでしまいそうな気配がある。
実際に写真を撮影した後、身の回りで妙な出来事が立て続けに起きたという話も耳にする。
二級ダムの心霊体験談
夜の二級ダムを肝試しで訪れた若者たちが、車を停めて談笑していると、突然後部座席の窓を「コンコン」と叩く音が響いたという。
驚いて外を見るが、そこには誰もいない。
音がした方向にはただ森と闇が広がるばかりであった。
恐怖でその場を立ち去った後、しばらくの間、全員が原因不明の頭痛や悪夢に悩まされたという。
二級ダムの心霊考察
これらの現象は、戦時中から続くこの地の悲劇の歴史に根差しているのかもしれない。
水没した旧集落の記憶や、工事中に命を落とした人々の無念が今もなお周辺に漂い続けているのだろう。
慰霊碑や墓地の存在がその証拠であり、霊たちは忘れ去られることを拒むかのように人前に現れ、気配を伝えてくるのではないか。
二級ダムは単なる歴史ある多目的ダムではない。
そこには目に見えぬ気配が今もなお息づき、人間の理屈を超えた現象を引き起こしている可能性がある。
興味本位で近づくと、思いもよらぬものを連れ帰ってしまうかもしれない。
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