瀬戸大橋のすぐ近く、香川県坂出市の小与島に建てられたリゾートホテル「アクア小与島」は、バブル期の夢とともに誕生し、わずか数年で閉鎖された廃墟である。現在も白い外壁とオレンジ屋根の建物が残り、無人のはずの窓に人影が見える、写真に女性の姿が写り込むなど数々の怪異が語られている。今回は、アクア小与島にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
アクア小与島とは?

アクア小与島(あくあこよしま)は、香川県坂出市の小与島に建てられた南欧風リゾートホテルである。
1988(昭和63)年の瀬戸大橋開通に合わせ、観光ブームを見越して株式会社ラ・レインボーが建設した。
白壁にオレンジ屋根が映える3階建ての建物で、28室すべてがオーシャンビュー。
展望浴場やプール、プライベートビーチ、テニスコートまで備えた豪華施設であった。
しかし、バブル崩壊のあおりを受けて観光客は激減し、営業はわずか数年で途絶えた。
その後は閉鎖状態となり、2000年頃までに完全に営業を終えたとされる。
現在も建物は現存し、内部には家具やベッドが放置されたまま残されている。
瀬戸大橋を車で渡ると、海の上に取り残されたリゾートの残骸を遠くから望むことができる。
アクア小与島の心霊現象
アクア小与島の心霊現象は、
- 誰もいないはずの窓から、人影が覗いている
- 夜になると、廃墟を見つめていると悪寒が走る
- カメラに髪の長い女性のような影が写り込む
- 強風が建物の悲鳴のように響く
である。以下、これらの怪異について記述する。
廃墟となったアクア小与島は、昼間に見ると白壁がまだ美しく残り、遠目には今でもリゾート施設の雰囲気を漂わせている。
しかし近づけば、草木が侵入し、静寂の中に湿った腐臭が漂う異様な空間である。
窓に浮かぶ「人影」の報告は多く、特にアーチ窓の部分に黒い影が立っていたという証言が後を絶たない。
髪の長い女性のような影が、別の窓にも重なるように写ったという写真も存在する。
また、夜釣りに訪れた人々は廃墟を見上げると、背筋を冷たく撫でられるような悪寒を感じるという。
建物自体が、そこで過ごした人々の思念を留めているかのように、不気味な存在感を放っているのである。
さらに、突如吹きつける強風が壁や窓に当たり、まるで建物が呻いているかのように響くこともある。
これを「ホテルの叫び声」と語る者もいる。
アクア小与島の心霊体験談
ある釣り人は、夜釣りの最中にアクア小与島を撮影したところ、窓の奥に確かに「人の顔」のような影が写り込んでいたという。
確認すると、三階のアーチ窓と一階の軒下、別々の場所に同じような女性の影があった。
「光の加減だ」と言う者もいれば、「誰かが潜んでいた」と言う者もいる。
しかし、船でしか行けない島であることを考えると、人間がわざわざ廃墟に入り込む可能性は極めて低い。
釣り人は「強風が吹いたとき、建物がまるで笑っているように聞こえた」と証言している。
アクア小与島の心霊考察
アクア小与島は、実際に死亡事故や事件があった場所ではない。
管理も続けられてきたため、肝試しの舞台になることも少なく、「人工霊」が生まれる環境でもないと考えられる。
しかし、リゾート開発の夢に踊らされ、借金や経営破綻に追い込まれた人々の無念、そして歓楽の記憶を残したまま放棄された建物の「負の気配」が、霊的現象を呼んでいるのではないだろうか。
「人を迎えるために作られた建物には魂が宿る」という考え方がある。
もしそうであるならば、今もなお海に取り残されたアクア小与島は、かつての賑わいを失った哀しみを抱え、人影や声となって現れているのかもしれない。
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