伊豫稲荷神社は、格式最高位「正一位」の勅許を受けた由緒正しき神社であるが、その霊力の強さゆえに不可解な現象が囁かれてきた。今回は、伊豫稲荷神社にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
伊豫稲荷神社とは?

伊豫稲荷神社は、弘仁15年(824)、当時の伊予国司であった越智為澄が、山城国伏見稲荷大社を勧請したことに始まると伝えられている。
以後、河野氏をはじめとする武将たちが祈願所とし、大洲藩・新谷藩からも崇敬を受けた由緒ある社である。
享和2年(1802)には、神社の神階で最高位にあたる「正一位」の勅許を受け、朝廷から奉られた大神号額が中殿に掲げられている。
そのため「正一位稲荷大明神」と称えられるに至った、極めて格式の高い神社である。
境内には、大雨の日に小石を産むと伝えられる「亀石」、夜中にすすり泣く「夜泣き石」、そして裏山に赤鳥居が連なる久美社がある。
また、明治時代には九州佐賀藩の秘宝「九尾の狐の尾」が奉納され、久美社に祀られたと伝承されている。
しかしその強大な霊力ゆえか、霊を直接見たとの証言は少ないものの、参拝者の精神や体調に異常をきたすといった不穏な現象が数多く報告されているのである。
伊豫稲荷神社の心霊現象
伊豫稲荷神社の心霊現象は、
- 夜泣き石から深夜にすすり泣く声が聞こえる
- 亀石の周囲で原因不明の頭痛やめまいに襲われる
- 久美社参拝後に不可解な体調不良が続く
- 九尾の狐の気配を見た、あるいは夢に現れたという体験
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず「夜泣き石」であるが、風もなく月も出ていない夜に限り、石の奥からすすり泣くような声が漏れ聞こえるという。
古くから「子どもの泣き声」と伝えられ、近づいた者の耳元で直接響くこともあるとされる。
声を聞いた者は、不可解な倦怠感に襲われることが多いという。
「亀石」は、大雨の日にだけ小石を産むという伝説を持つ。
しかし、実際に目撃した者は石の前で体調を崩すことが多く、中には立ち上がれなくなった例もある。
不思議な力を宿す信仰石として恐れられている。
「久美社」には九州佐賀藩の鍋島家から流れついた「九尾の狐の尾」が祀られている。
これは宮司の夢枕に現れるほどの霊力を持つとされ、参拝した者の中には「狐の影を見た」と証言する者もいる。
久美社の周辺では、赤鳥居の間を通るたびに寒気に襲われるなどの異常が相次いでいる。
さらに、九尾の狐は古来より凶事を招く妖狐として知られる。
強烈な霊力は、無防備な参拝者の精神を揺さぶり、不眠や幻聴を引き起こすことさえあると語られている。
伊豫稲荷神社の心霊体験談
ある参拝者は、夜泣き石の前で奇妙な体験をした。
石の前で合掌した瞬間、背後から子どもの泣き声が聞こえた。
しかし振り向いても誰もいない。
急いで境内を後にしたが、その夜から数日間、就寝のたびに同じ泣き声が耳元に響き、眠ることができなかったという。
また、久美社に立ち寄った若い男性は、帰宅後に高熱を発し、夢の中で赤い目をした狐に睨まれる悪夢を繰り返したという。
病院の診察では原因が見つからず、やがて自然に回復したが、以来その男性は二度と神社に近づこうとはしなかったそうである。
伊豫稲荷神社の心霊考察
伊豫稲荷神社は「正一位」の格式を持つ神社であるが、同時に霊的な力が極めて強い場所でもあるといえる。
夜泣き石や亀石は、ただの伝承ではなく、長きにわたり人々が畏怖してきた信仰の対象である。
その信仰心が積み重なり、土地に霊的な念を呼び寄せた可能性が高い。
特に「九尾の狐の尾」を祀る久美社は異質である。霊力の強大さは、人を守るどころか精神を蝕む危険性を秘めている。
参拝者が体調を崩すのは偶然ではなく、この強烈な霊気の影響と考えるべきであろう。
伊豫稲荷神社は、由緒正しき神社でありながら、霊的に敏感な者にとっては決して安易に立ち入るべき場所ではない。
参拝の際は、十分な心構えが必要とされる場所なのである。
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