旭川市近郊・東川町にある「中国人墓地」には、かつて強制労働を強いられ命を落とした中国人労働者たちの無念が今なお漂うという。地元では古くから、泣き叫ぶ少女の霊や四つん這いで追いかけてくる男の霊など、数々の怪奇現象が語られてきた。今回は、中国人墓地にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
中国人墓地とは?

北海道東川町の14号共同墓地の一角に「中国人墓地」と呼ばれる慰霊碑が存在する。
正式には「中国人殉難烈士慰霊碑」と呼ばれ、1944年、戦時中に日本に強制連行された中国人労働者たちが、この地で過酷な労働の末に命を落とした悲劇の証として建てられたものである。
この地には、発電所や遊水池建設のため、劣悪な環境下で働かされた338人の中国人のうち、88名が命を落とした記録が残っている。
労働は苛烈を極め、裸足で雪の中作業をさせられ、水ぶくれが破れた傷口に煮えた油をかけるという拷問にも近い仕打ちもあったという。
彼らの亡骸は、作業場近くに穴を掘り、まるで“物”のように捨てられたとされている。
現在は共同墓地として整備されているが、心霊現象の目撃報告が相次ぎ、心霊スポットとして恐れられるようになった。
中国人墓地の心霊現象
中国人墓地の心霊現象は、
- 墓の前で泣き続ける少女の霊が現れる
- 四つん這いで追いかけてくる男性の霊が目撃される
- 帰り道に車の助手席に知らない人物が乗っている
- 上半身だけの男性の霊が突然現れる
- 墓の裏に刻まれた文字を読むと呪われる
- 墓地の地蔵に悪戯した人間が事故死する
- 墓地に訪れた者に子どもの手形がつく
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず目撃例が多いのが、深夜に墓前で泣き続ける少女の霊である。
少女は決して声を上げて泣くわけではないが、嗚咽のような音が墓地に響く。
そしてその正体は、中国人ではなく、過去にこの地で起きた一家惨殺事件の犠牲者とされる地元の少女であるという説がある。
また、墓地の中を四つん這いで動き回り、訪問者に向かって猛スピードで這い寄る男性の霊も報告されている。
この霊は、顔が判別できないほど歪んでおり、異様な姿で現れるという。
さらに恐ろしいのは、帰り道に起こる現象である。
空席だったはずの車の助手席に、いつの間にか知らない人物が座っているという報告が複数ある。確認すると誰もいない。
しかし、バックミラーには一瞬だけ、血まみれの顔が映るという。
また、墓地内のどれかの墓の裏に刻まれた文字を読んだ者が、その後不可解な死を遂げたという話もある。
呪いの言葉である可能性があり、地元では“絶対に読むな”と忠告されている。
他にも、地蔵に小便をかけた若者が事故死した、という因果応報めいた話もある。
加えて、地蔵の前に供え物をした人が、帰宅後に家中に子どもの手形が出現したという体験談もある。
中国人墓地の心霊体験談
30年ほど前の夏、高校生の男子が盗難車を運転し、墓地近くで事故死した。
彼は墓地内の地蔵に小便をかけるなどの不敬行為をしていたため、「呪われたのではないか」と語られている。
また、15年前に訪れた人物は、帰宅後に車の窓に小さな手形が無数についていたことに気づいたという。
北野誠のDVDでも「子どものお墓があります」と紹介されており、その子の霊ではないかと本人は語っている。
さらに恐ろしいのは、かつてこの墓地を含む旭川の有名心霊スポットを巡っていた若者が、1年もしないうちに亡くなったという話である。
友人の突然死により、語り手は「心霊スポットにはもう行かない」と誓ったという。
中国人墓地の心霊考察
この場所に現れる霊の数々は、偶然ではなく、明確な“原因”が存在していると考えられる。
戦時中に命を奪われた中国人労働者たちの怨念は、慰霊碑や供養では到底収まるものではなく、むしろ「生きた者たちに訴えかけようとする力」そのものに変貌したのではないか。
特に、苦しみながら死を迎えた者の霊は、「見つけてほしい」「忘れないでほしい」という念を持つとされる。
地蔵の並ぶ場所に少女の霊が現れるという現象も、それが別の事件と重なって起きている可能性があり、この地一帯が「未浄化の魂の集積地」となっているようにも感じられる。
また、呪われた文字の存在や、車に憑く霊の話は、単なる都市伝説では片付けられないほど、体験者の証言が多い。
霊はその場に現れるだけではなく、人に“ついてくる”。
それがこの場所の最も恐ろしい部分であり、だからこそ「冗談半分で訪れてはならない」と語られているのである。
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