二河峡は広島県呉市にある美しい峡谷である。しかし、その自然の景観とは裏腹に、川の氾濫や戦争で命を落とした無数の霊が今も彷徨っていると噂されている。今回は、二河峡にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
二河峡とは?

二河峡は、広島県呉市を流れる二河川の河口から上流へ約3.7kmの地点に位置する、全長およそ2.5kmに及ぶ峡谷である。
その中心には高さ約30mの「男滝(二河滝)」と、さらにそのすぐ下に位置する高さ約37mの「女滝」がある。
男滝は水量が多く浸食力が極めて強いため、川底の岩を削り取りながら後退し、現在の峡谷を形作った。一方の女滝は垂直に近い姿をしているが、水量は少なく、岩が削られることはない。
峡谷の両岸には高さ20~30mの岸壁がそびえ立ち、常緑広葉樹に覆われている。
街から近い場所にありながら、原生林のような鬱蒼とした景観を見せ、市の名勝にも指定されている。
しかし、この美しい自然の中には、過去に幾度も川の氾濫で命を落とした者たちの怨念が刻まれていると噂されている。
二河峡の心霊現象
二河峡の心霊現象は、
- 髪の長い女性の霊が公衆電話付近に現れる
- 駐車場上部に立つ戦没者の石碑から、夜になると数多の得体の知れぬ気配が漂う
- 川で命を落とした霊たちが、夜のドライブ中に車へまとわりつく
- 誰もいない場所で女性の声が聞こえたり、木々の間から人影が覗く
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、髪の長い女性の霊である。
今は使用されているかも定かではないが、かつて峡谷近くにあった公衆電話のそばに、その女性の霊が佇むのを何人もの人が目撃している。
夜間、ふと視線を感じ振り返ったとき、電話ボックスのガラス越しに長い黒髪が垂れ下がる姿を見たという話は後を絶たない。
次に、二河峡駐車場の上部に設けられた戦没者の石碑である。
昼間はただの石造物に過ぎないが、日が暮れるとその周辺には重く淀んだ空気が流れ出し、何かに背後からじっと見つめられる感覚に襲われる。
石碑は地元でも「夜には近寄るな」と語られる場所である。
また、川で命を落とした者たちの霊が、深夜に峡谷を走る車へ群がるとも言われている。
フロントガラスやサイドミラーに何かが貼りつくような気配を感じ、慌てて確認すると、濡れた手形のようなものが残されていたという恐ろしい体験談もある。
さらに、峡谷を歩いている最中、木々の間からふいに顔を覗かせる人影や、誰もいない場所から突然女性の声が聞こえるといった現象も報告されている。
二河峡の心霊体験談
ある者はこの場所を度々訪れ、配信中に数々の異常を記録している。
川を背景にリスナーに挨拶をしていた際、画面越しの視聴者が彼の背後に女性を目撃したという。
映像を確認すると、確かにそこには人間の顔のようなものが浮かび上がっていた。
他にも、不気味な声や不可解な影が映り込んでおり、視聴者を震え上がらせた。
また別の配信では、木の影からひょっこり現れる女の顔や、誰もいない場所で突然記録された声など、二河峡では明らかに説明のつかない出来事が連続して起きている。
彼自身も「タイミングの問題かもしれないが、確実にここには“何か”がいる」と語っている。
二河峡の心霊考察
これらの現象は、過去にこの地で繰り返された水害や戦争による死が深く関係しているのだろう。
川に沈んだまま浮かばれない者の無念、戦場で若くして倒れた者の怨嗟――そうしたものがこの峡谷には幾重にも堆積し、今なお訪れる人間に触れようとしているのかもしれない。
ただの自然の音や影が恐怖を掻き立てているだけなのか、それとも本当にこの世ならざるものが潜んでいるのか。
二河峡は、その答えを自らの目と耳で確かめる勇気を持つ者を、今もなお待ち続けている場所なのかもしれない。
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