熊本県阿蘇郡産山村にかつて存在した巨大リゾート計画「卑弥呼の里(産山リゾートホテル)」。夢半ばで頓挫し、今では廃墟となったその場所には、男の霊や唸り声、話し声、影に追われるといった不可解な現象が囁かれている。今回は、卑弥呼の里(産山リゾートホテル)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
卑弥呼の里(産山リゾートホテル)とは?
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卑弥呼の里(産山リゾートホテル)は、熊本県阿蘇郡産山村にかつて存在した巨大リゾート計画である。
阿蘇、九重、祖母の三名山を一望できる「一望三山台」の草原に、105ヘクタールの広大な敷地を用いて総工費約300億円をかけて建設された。
事業主体である不動産会社「ドッパー」により、全876室の産山リゾートホテルをはじめ、イベントホール、文化施設、スポーツゾーン、古代の村、ショッピングモールなどの整備が進められていた。
1981年には南こうせつが村に8000人の観客を呼び込むコンサートを開催し、一時は地方創生の希望として脚光を浴びた。
しかし、計画の中核となるホテルの完成を目前にして、ドッパーは倒産。
産山リゾートホテルは内装工事途中で放棄され、未完成のまま時を止めることとなる。
現在では建物は朽ち果て、廃墟と化している。
卑弥呼の里(産山リゾートホテル)の心霊現象
卑弥呼の里(産山リゾートホテル)の心霊現象は、
- 男性の霊が目撃される
- 女性の唸り声のような音が聞こえる
- 誰もいないはずの廃墟で話し声が響く
- 黒い影に追われる感覚に襲われる
である。以下、これらの怪異について記述する。
廃墟となった産山リゾートホテルは、すでに壁は黒ずみ、ガラスは割れ、床には瓦礫が散乱している。
そこに足を踏み入れると、まず感じるのは異常な静寂と、空間全体にまとわりつくような湿った空気である。
最も多く報告されているのは、ホテルの奥にある大広間で現れる男性の霊である。
スーツ姿の中年男性が無言で佇み、来訪者と目を合わせることなく消えるという。
倒産した会社の関係者なのか、それとも…その素性は不明のままである。
また、夜になると女性の唸り声のような低いうなりが聞こえてくることがあるという。
地下のボイラー室付近で特に多く聞かれるこの音は、うめき声にも似ており、まるで苦しんでいるかのような響きをもつ。
さらに、人気のない館内を歩いていると、ふいに背後から誰かが話しているような声が聞こえることがある。振り向いても誰もいない。
会話の内容は不明瞭であるが、複数の人間がざわついているような印象を受けるという。
そして最も恐ろしいのは、「影に追われる」という体験談である。
ある者は階段を登っている最中に、黒い影がすぐ後ろに迫ってくるのを感じ、息が詰まりそうになったと語っている。
影の正体はわからず、逃げ出す以外に方法はなかったとされる。
卑弥呼の里(産山リゾートホテル)の心霊体験談
ある若者グループが深夜に肝試しとして廃墟を訪れたときのことである。
途中で仲間のひとりが、奥の部屋の窓際に人影を見たと騒ぎ出した。
半信半疑で皆がそちらに目を向けたとき、確かにスーツ姿の男が背を向けて立っていた。
その姿は次第に透けるようにして消えていったという。
その場にいた全員がパニックとなり、逃げ出したが、外に出るまでの間、誰かに「ついて来られている」という圧迫感にずっと苛まれたそうである。
数日後、その体験をしたひとりは発熱と幻聴を訴え、しばらく学校を休んだという。
卑弥呼の里(産山リゾートホテル)の心霊考察
この地に巣食う霊的存在は、未完に終わった夢、叶わなかった計画、失われた希望の記憶に由来していると考えられる。
華々しい開発の裏で資金繰りに悩み、絶望の末に自ら命を絶った者がいたとしても不思議ではない。
また、ホテルの建設途中であるがゆえに、「完成」という目的を失った空間が“無念”を凝縮させ、霊的なエネルギーの滞留を招いている可能性がある。
建物そのものが時の流れから取り残され、静かに朽ちていく中で、「そこにいるはずのない者たち」が今も歩き回っているのかもしれない。
卑弥呼の里は、単なる廃墟ではなく、断ち切れぬ怨念と未練が染みついた“終わらなかった村”なのである。
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