長崎県長崎市の最南端、断崖に建つ「樺島灯台」には、美しい絶景とは裏腹に、数々の心霊のウワサがつきまとっている。夜中に訪れた人々の多くが、「誰かにつけられている気配を感じた」「存在しない足音を聞いた」と語り、実際に不可解な体験をしたという証言も後を絶たない。今回は、樺島灯台にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
樺島灯台とは?

樺島灯台は、長崎市の樺島南端、海抜100メートルの断崖にそびえ立つ白亜の灯台である。
1932年(昭和7年)に竣工し、かつては「野母崎燈台」と呼ばれていた。
現在は観光スポットとしても親しまれており、展望台からは天草灘や五島灘、さらには軍艦島まで望むことができる絶景地である。
灯台周辺には野鳥が飛び交い、春には桜が咲き誇るなど、自然の美しさに満ちた場所であるが、その立地ゆえか、ここを「人生の最果て」と感じてしまう者も少なくない。
断崖絶壁のその姿は、まるでこの世の終点を指し示しているかのようである。
樺島灯台の心霊現象
樺島灯台で報告されている心霊現象は、
- 男性の霊が出現する
- 灯台からの帰り道に「何者か」に追われる
- 見えない足音と革靴の足元だけが現れる
- ボンネットに何者かが這い上がる
である。以下、これらの怪異について記述する。
この灯台で最も多く語られるのは、夜間に現れる「男性の霊」の話である。
姿をすべて現すことはない。ただ、明らかに“人”ではない“何か”の気配と、見えない存在の足音、そして懐中電灯に浮かび上がる革靴だけの足元。
これらは単なる錯覚では片付けられない。
ある晩、友人たちと灯台を訪れた若者たちは、灯台を後にした瞬間から“何者か”に追われるような感覚に襲われたという。
先頭を歩く友人の一人は、後方から何かが自分たちの間に割って入るような感触を覚え、掴もうと伸ばした手が何度も空を切ったという。
やがて、懐中電灯が捉えたのは――スニーカーの横にぽつんと現れた、紐付きの革靴の足元だった。そこに“体”は存在しなかった。
駐車場へ走り戻る彼らの背後では、いくつもの足音が鳴り響いていた。
そして車に乗り込んだ後、恐怖は終わらなかった。助手席の友人が震えながら告げた。
「誰かがボンネットの上に乗って、運転席を覗き込んでる…」
それは、ただの幻覚だったのだろうか――。
樺島灯台の心霊体験談
体験者によると、灯台に向かう道中には何の異変もなかった。
しかし帰り道、様子は一変した。
月明かりのない真夜中、しんと静まり返る空気の中、後ろから迫る何かの気配が確かにあったという。
懐中電灯の明かりが照らし出したのは、宙に浮くような革靴の足元。
しかも、それは誰のものでもなかった。恐慌状態に陥った友人たちは全速力で車へ逃げ帰り、車内でも言いようのない恐怖に支配され続けた。
そして――ボンネットの上に現れた「何か」を見た者は、一人ではなかった。
樺島灯台の心霊考察
樺島灯台の心霊現象の根底には、「最果て」という感覚が大きく関与していると考えられる。
断崖絶壁に建ち、周囲にはほとんど人家もない孤立した空間。訪れる者は無意識のうちに「ここが終点」という心理状態に陥るのだろう。
また、灯台が自殺の名所であるという事実も見逃せない。
海へ向かって立つ灯台は、ある意味で“帰る場所のない者”を誘っているのかもしれない。
命を絶った者たちの残留思念が、時に形を持ち、人に干渉してくるのではないか。
「革靴の霊」は、その最たる象徴とも言えるだろう。なぜ“足元だけ”なのか。
その理由は、「この世に未練を残しつつも、もう肉体がない」存在だからなのかもしれない。
見えるはずのない“足”が見える時――それは、見えてはいけない世界と繋がってしまった瞬間なのかもしれない。
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