愛媛県宇和島に佇む古き良き旅館「木屋旅館」には、座敷わらしが現れるという奇妙なウワサが存在する。その存在に出会えば幸福を授かるとされるが、果たしてそれは吉兆か、それとも異界の気配か――今回は木屋旅館にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
木屋旅館とは?

木屋旅館は明治44年(1911年)創業の老舗旅館である。
かつては政治家の後藤新平、犬養毅、作家の司馬遼太郎や吉村昭、国語学者の金田一春彦など、数多くの著名人が宿泊した由緒ある場所であった。
平成7年に一度は廃業したが、平成24年にリノベーションを経て新たな姿で復活し、平成26年には登録有形文化財に認定された。
伝統的な木造建築と現代的なアートが融合した空間は、今もなお宿泊者を惹きつけている。
木屋旅館の心霊現象
木屋旅館の心霊現象は、
- 座敷わらしが旅館内に現れる
- 子どもや心根の素直な人間にしか姿を見せない
- 出会えた者には幸福が訪れるとされる
- 夜、誰もいないはずの廊下で小さな足音が響く
である。以下、これらの怪異について記述する。
木屋旅館の座敷わらしは、東北地方の旧家に伝わるものとは異なり、旅館という公共の場に現れる点が特異である。
多くの人が訪れる中で、選ばれた者にだけ姿を現すとされており、その出会いは偶然ではなく「呼ばれた」と解釈する者もいる。
実際に泊まった客の間では、夜中に小さな足音や笑い声を耳にしたという証言が残されている。
しかし、その現象を不気味と感じる人もいれば、幸運の兆しとして受け取る人もいる。
木屋旅館は恐怖と幸福の狭間に存在する心霊スポットであるといえる。
木屋旅館の心霊体験談
ある宿泊者は、深夜に誰もいないはずの二階廊下で「パタパタ」と小さな足音を聞いたという。
確認のために襖を開けたが、そこには誰の姿もなかった。
翌朝、館内を探索した際、部屋の隅に置かれた小さな履物を目にして言葉を失ったという。
別の宿泊者は、寝入りばなに布団の端を引かれるような感覚に目を覚まし、視線を動かすと、障子の影に小さな人影が映っていたと語っている。
その人影は一瞬で消え去ったが、不思議なことにその後、思いもよらぬ幸運が訪れたという。
木屋旅館の心霊考察
木屋旅館に現れるとされる座敷わらしは、一般的に恐怖をもたらす幽霊とは異なり、幸福を授ける存在とされている。しかし、姿を見た人の証言には共通して「畏れ」が伴っている点が興味深い。
子どもや素直な者にしか姿を見せないという条件は、座敷わらしが人の心を見透かしているかのようである。
つまり、木屋旅館はただの宿泊施設ではなく、「異界と俗世をつなぐ場」としての性質を持っているのかもしれない。
幸福を授かるという話も、裏を返せば「選ばれなかった者」には何も起こらない、あるいは別の影響が及ぶ可能性を示唆している。
木屋旅館に泊まるという行為自体が、無意識のうちに座敷わらしとの“契約”を結ぶ行為なのかもしれない。
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