徳島県勝浦郡に位置する正木ダムは、昼間こそ桜の名所として知られるが、夜になると一転して異様な静寂と恐怖に包まれる。過去には数多くの自殺や事故が発生しており、今なお現場では不可解な音や霊の目撃が後を絶たない。今回は、正木ダムにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
正木ダムとは?

正木ダムは、徳島県勝浦郡上勝町に位置する重力式コンクリートダムである。
二級河川である勝浦川の流れをせき止める形で建設されたこのダムは、1960年に着工され、1978年に完成。
管理は徳島県が行っており、ダム湖は1987年に「美愁湖(びしゅうこ)」と名付けられている。
周辺は「正木ダム公園」として整備されており、桜の名所としても知られる。
一見すれば穏やかな景勝地に過ぎないが、この場所には“静寂に潜む異質な気配”がまとわりついている。
事実、近年においても、交通事故や飛び降り自殺といった不穏な出来事が後を絶たず、地元では「夜に近づいてはならない場所」として語り継がれているのである。
正木ダムの心霊現象
正木ダムの心霊現象は、
- 女性の霊が現れる
- 夜間に金属音が響く
- 深夜、橋の上で足音が背後から聞こえる
- 耳元で誰かの声がする
- 心霊写真が撮影される
- 交通事故が頻発する
- ダムへの飛び降り自殺が多発している
である。以下、これらの怪異について記述する。
これらは単なる風評ではない。
実際に現地を訪れた者たちからの証言や映像によって裏付けられつつあり、遊び半分で足を踏み入れた者の中には、異変を体験し“無言で口を閉ざした”者も少なくない。
まず、最もよく知られている現象は「女性の霊」である。
橋の上や湖面に立ち尽くす長髪の女が目撃されており、視線を向けた瞬間にスッと姿を消すという。
特に雨の日の深夜、橋の中腹で彼女が佇んでいたという証言が複数存在する。
また、金属が引き裂かれるような「キィィィィ……」という音が、深夜になるとどこからともなく響いてくるという。
周囲に人影はなく、風も吹いていないにもかかわらず、耳にこびりつくその金属音は、まるで何かが訴えているように聞こえる。
橋を渡る際には、誰もいないはずの背後から「コツ、コツ、コツ…」という足音が忍び寄ることがある。
その足音は、自分の足音に同期するように聞こえたり、急に背後から駆け寄ってきたりと、不規則かつ執拗である。
そして、何もいない空間から「…かえして」「…やめて」というような声が、耳元でささやかれるという報告もある。
さらに、この場所では「心霊写真」が撮れるという話も有名である。記念撮影のはずが、肩越しに知らない人間の顔が写っていたり、水面に写るべきでない影が浮かび上がるといったことが起こっている。
事故や自殺も深刻な問題である。
正木ダム周辺では不可解な交通事故が多発しており、「ハンドルを取られた」「急に霧が出た」といった証言が相次ぐ。
また、自殺の名所としても知られており、水面に吸い込まれるように身を投げた者が複数存在しているという。
正木ダムの心霊体験談
ある若者二人組が、深夜に“肝試し”のつもりで正木ダムを訪れたという。
橋を渡っている最中、背後からコツン…コツン…と乾いた足音が聞こえた。振り返っても誰もいない。
「風かもしれない」と誤魔化そうとしたその時、左耳にだけハッキリと「みてるよ……」という声が響いた。
慌てて走り出し、車に戻ると助手席のドアミラーに“女の手”がはっきりと映っていた。
二人はその後、重度の睡眠障害を患い、半年以上も夢の中に“あの女”が現れるようになったという。
正木ダムの心霊考察
正木ダムにまつわる心霊現象の多くは「自殺」「事故死」など、強い未練や突発的な死に関連している点が共通している。
そのため、亡者たちの怨念や苦悶が土地に染みついている可能性は否定できない。
また、水辺というのは古来より“霊が集まりやすい場所”とされている。
水は「記憶を留める」とされる媒体であり、死者の想念を写し、時にそれを映像として具現化させるとすら言われている。
加えて、夜間に鳴り響く金属音は、単なる熱伸縮音とは異なる“何か”の意思を持った音であるようにも感じられる。
繰り返される異音、不可視の足音、耳元の声――これらは明確な悪意と呼べるものではないにせよ、何者かが「ここにいる」と伝えようとしている可能性がある。
正木ダムは昼間こそ美しい観光地の顔を見せるが、その裏側には“帰れぬ者たち”の声が、今もなお蠢いているのかもしれない。
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