福岡県北九州市にあるます淵ダムには、静かな湖面の裏に隠された数々の怪異が存在すると云われている。今回は、ます淵ダムにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
ます淵ダムとは?

ます淵ダム(ますぶちダム)は、福岡県北九州市小倉南区道原に位置し、1973年に竣工した多目的ダムである。
紫川の上流を堰き止め、洪水調節や流水の正常な機能維持、水道用水の供給を目的として造られた人工湖である。
ダムの建設に伴い、かつてこの地に存在した「頂吉(かぐめよし)」という集落の一部、25戸が水没した。
今もなお、湖底には当時の墓石が沈んでいるとされ、住人たちの記憶と共に、その無念が沈黙の水面下で語られている。
ます淵ダムの心霊現象
ます淵ダムの心霊現象は、
- 下半身のない女性の霊が立っているのを見たという目撃談
- ダム湖に転落して死亡した老人と、それを助けようとした釣り人の霊が出るという噂
- 湖周辺で子どもが亡くなる事故があり、その霊が出没するという話
- ダム底に眠る墓の影響によって霊障が発生しているとの指摘
- 2007年、身元不明の男性遺体が発見された事件をきっかけに怪異が増えたという証言
である。いずれも、ただの都市伝説では済まされない、奇妙で不気味な実話として囁かれている。
以下、これらの怪異について記述する。
ダム周辺では、日中であってもどこか薄暗く、張り詰めた空気が漂っている。
とりわけ霧が立ち込める早朝や夕方になると、まるで何者かに見られているかのような錯覚に陥るという。
かつて、ダムを日課のジョギングコースとしていた高齢男性が、足を滑らせ湖に転落。
偶然現場を目撃していた釣り人が救助に向かったが、ふたりとも水中で命を落としたとされる。
この出来事の後、夜中にふと水面を覗き込むと、誰もいないのに水面が波打つ音が聞こえるという報告がある。
また、湖畔では「腰から下が存在しない女性の霊」が度々目撃されている。
その女は無言でこちらを見つめてくるだけであるが、目が合った瞬間、激しい頭痛や吐き気に襲われるという体験談もある。
正体不明の彼女は、果たしてダムに沈んだ集落の住人なのだろうか。
ダム建設によって消えた「頂吉」集落の記憶が怨霊となって現れているのではないかという説も根強い。
沈んだ墓石がそのまま残っているという事実が、怪異の説得力をさらに強めているのである。
ます淵ダムの心霊体験談
ある訪問者は、昼間の散策中に異様な寒気を覚えたという。
気温は穏やかな春の日だったが、桜並木の下に差しかかると突如空気が凍りつき、背後から「おいで」と呼びかける女の声が耳元で囁かれた。
振り向いても誰もおらず、声は繰り返されることはなかったが、その後も視線を感じる感覚がしばらく続いたという。
また別の人物は、ダムの堤頂を渡っている最中に、対岸から手を振る人物を見つけた。
霧の中でぼんやりと揺れるその影は、いつの間にか水面に立っていたという。
急いでその場を離れたが、車に乗ってもバックミラーにしばらくその姿が映っていたと証言している。
ます淵ダムの心霊考察
ます淵ダムで語られる数々の怪異は、すべて偶然の一致として片づけられるだろうか。
水没した集落、沈んだ墓、謎の転落事故、未解決の遺体発見――いずれも、この場所に「何か」があるとしか思えない状況が積み重なっている。
特に、ダムという閉ざされた空間にまつわる心霊現象は、逃げ場のなさや視界の悪さが恐怖を倍増させる。
人工的に造られた湖であるにもかかわらず、その水底には自然以上の異常が沈殿しているように思えてならない。
「何か」が見ている。「誰か」が待っている。
そう感じた時、あなたも既にます淵ダムの呪縛の一部となっているのかもしれない。
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