愛媛県東温市の山中に残された廃村「水越集落跡」は、かつて落人が暮らしたと伝わる歴史を持ちながら、今では誰も寄りつかぬ心霊スポットとして語られている。今回は、水越集落跡にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
水越集落跡とは?

水越集落は、愛媛県東温市松瀬川の山中に存在する廃村である。
かつては昭和30年(1955)ごろにおよそ30戸の家が並び、人々の暮らしが営まれていた。
しかし過疎化の波には抗えず、平成7年(1995)に最後の住人が村を去り、完全に無人の集落となった。
この地は「落人の里」とも呼ばれている。
天正年間、篠森左近之丞が篠山に城を築いたが、長宗我部氏の侵攻によって領地を奪われ、一族とともに落ち延びた末に辿り着いたのが水越である。
そのため、集落の住民は皆「篠森姓」を名乗っていたという。
今では廃屋が山に呑み込まれるように朽ち果て、神社の参道すら草木に覆われ、忘れ去られた歴史が静かに眠っている場所である。
水越集落跡の心霊現象
水越集落跡の心霊現象は、
- 男性の霊が現れる
- 足音が聞こえる
- 声が聞こえる
- 人影が見える
である。以下、これらの怪異について記述する。
夜の水越集落を訪れると、無人のはずの家屋の中から足音が響くと噂されている。
板張りの廊下をぎしぎしと歩くような音であり、確かに誰かが家の中を徘徊しているかのように聞こえるのである。
また、廃屋の影や木々の合間に、人影のようなものが立っているのを目撃した者も多い。
じっと見つめ返してくるその影は、次の瞬間には掻き消えるように消えるため、確かに「そこにいた」という感覚だけが残るという。
さらには、静まり返った山中で誰もいないはずなのに会話のような声が聞こえてくることも報告されている。
耳を澄ますと、低い男の声であり、時に笑い声のように聞こえることもあるという。
そして視線を感じ振り返ると、古びた家屋の縁側に男性の霊が佇んでいたという証言も存在する。
人の生活が途絶えて30年。にもかかわらず、この村には確かに“誰か”が残り続けているのである。
水越集落跡の心霊体験談
ある訪問者は、夜に廃屋の縁側を覗き込んだ際、白い服を着た男が腰掛けているのをはっきりと見たという。
しかし声をかけた瞬間、その姿は掻き消えるように消え、残されたのは冷たい風と、背後から確かに追いかけてくる足音だった。
慌てて山道を駆け下りても、足音はぴたりとついてきており、麓にたどり着くまで決して止まなかったと証言している。
水越集落跡の心霊考察
水越集落跡の怪異は、単なる風の音や動物の鳴き声に過ぎないと片付ける者もいる。
しかし、足音や人影、そして男性の霊の目撃談があまりにも多く一致している点は看過できない。
かつて落人が逃げ延びて住みついた歴史をもつ村である以上、この地には無念を抱いた魂が留まっている可能性は高い。
廃村となってなお、村人たちの気配が消えず、夜ごと来訪者を見下ろす影となって現れているのかもしれない。
水越集落跡は、廃村でありながら「死者がまだ暮らし続けている村」であるという不気味な印象を強く与える心霊スポットである。
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