大分県玖珠町に位置する伐株山には、巨人伝説や絶景スポットとしての顔とは裏腹に、数々の心霊のウワサが存在する。トイレやブランコ付近での幽霊の目撃談、繰り返される自殺の噂、謎の声など、不穏な話が絶えない山である。今回は、伐株山にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
伐株山とは?

伐株山(きりかぶさん)は、大分県玖珠町にそびえる標高685.5メートルの山である。
独特な平坦な山頂を持つこの山は、耶馬日田英彦山国定公園内に位置し、「メサ」と呼ばれる地形が特徴的である。
かつてこの地には、天を突くほどの巨大なクスノキが存在し、その木が陽光を遮るために農作物が育たず、人々は困窮していた。
伝説によれば、村人たちは九百尺の大男に依頼し、三年三ヶ月かけてその木を伐り倒させたという。
その切り株が、現在の伐株山であると伝わっている。
山頂は「伐株山園地」として整備されており、パラグライダーやハングライダーの基地としても人気が高い。
ブランコや休憩施設も整い、観光地としては穏やかで美しい一面を持つ。
しかしその裏で、伐株山は“心霊の山”としても恐れられている。
伐株山の心霊現象
伐株山の心霊現象は、
- トイレで女性の霊が目撃される
- ブランコ付近で子どもの霊が出現する
- 老婆や老人の霊が現れる
- 若いカップルの霊が彷徨う
- ハングライダー中に謎の声が聞こえる
- 首吊り自殺が毎年のように発生する
である。以下、これらの怪異について記述する。
トイレで女性の霊が目撃される
山頂付近のトイレでは、白い服を着た長髪の女性の姿が鏡越しに映ると噂されている。
誰もいないはずの個室からうめき声が聞こえたり、個室の扉が勝手に開閉する現象も報告されている。
特に夜間に使用した者の多くが、背後に「誰かいる」と感じるという。
ブランコ付近で子どもの霊が出現する
「ハイジのブランコ」と呼ばれる大きなブランコの周辺では、子どもの霊が目撃される。
誰もいないのにブランコが激しく揺れ続け、無邪気な笑い声やすすり泣きが風に紛れて聞こえることもある。
深夜に撮影した写真に、小さな手や顔が写り込んでいたという証言も存在する。
老婆や老人の霊が現れる
山道を歩いていると、杖をついた老婆が立っている姿を目撃したという話が多い。
声をかけようと近づいた途端、霧のようにかき消える。
中には、道の脇から手招きをしている姿を見たという報告もある。
道に迷わせようとしているのではないかと囁かれている。
若いカップルの霊が彷徨う
展望台付近で、手をつないだカップルの姿が遠くに見えることがあるという。
近づいていくと、ふと姿が消え、風の中に「…ごめんね」「…一緒にいようね」という悲しげな声が残る。
もしかすると心中の名残かもしれない。
ハングライダー中に謎の声が聞こえる
空を滑空している最中、「たすけて」という声が風に混じって聞こえることがあるという。
特に、かつて事故が発生した地点の上空では、無線に正体不明の雑音が入ったという報告もある。
地上には誰もいなかったはずなのに、声だけが残される。
首吊り自殺が毎年のように発生する
伐株山は、地元では密かに“自殺の名所”とも言われている。
特に展望台の裏手や林道付近で、首吊り自殺が数件発生しており、その数は年間に3件前後とも言われている。
その場を訪れると、木々の枝に奇妙な縄の跡が残されていた、という証言も存在する。
伐株山の心霊体験談
実際に伐株山を訪れた者の中には、明確な異変を体験した者も少なくない。
ある若者グループは、夜に肝試しで山頂を訪れた。
ブランコが誰も乗っていないのに揺れていたため、スマホで動画を撮影しようとした瞬間、耳元で「ダメ…来ないで…」という女性の囁き声がしたという。
恐怖でその場を離れた彼らが後日動画を確認すると、遠くの木の陰に、人影のようなものが映っていた。
また、パラグライダー体験に訪れた男性は、飛行中に「後ろに誰かいる」と感じたという。
着陸後、背中に何かに掴まれていたかのような感触と、肩に残る青い痣があったそうだ。
伐株山の心霊考察
伐株山における心霊現象は、偶然の産物ではなく、いくつかの明確な要因によって形成されたものであると考えられる。
まず、巨木伝説に象徴されるように、この地は古くから“特別な力”を宿す場所とされてきた。
人々の畏怖が、時間をかけて“霊的な土地”というイメージを構築したのであろう。
さらに、実際に起きたハングライダーの死亡事故や、幾度か報告されている自殺の存在が、「命が絶たれた場所」としての印象を強めている。
とりわけ首吊りという死に方が複数発生している点は異常であり、死者の念が山に留まり続けている可能性がある。
また、田舎特有の深い静寂と暗闇は、人の想像力に訴えかけ、心霊現象をより強烈に演出する。
風の音、木の軋み、虫の羽音といった日常の音が、容易に「霊の気配」と誤認されるのだ。
一部の目撃談に見られる老婆や老人の霊に関しては、地元住民の徘徊と重なる可能性も否定できないが、記録に残らない“目撃後に消える存在”の説明にはならない。
結論として、伐株山は、伝承・事件・地形・環境という四つの条件が揃った、心霊スポットとしての“完成形”ともいえる場所なのである。
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