愛媛県宇和島市と愛南町にまたがる旧鳥越トンネルには、不可解で恐ろしい心霊現象の数々が囁かれている。今回は、旧鳥越トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
旧鳥越トンネルとは?

旧鳥越トンネルは、大正8年(1919年)に竣工した煉瓦と石積みの立派な隧道であり、現在は「近代土木遺産」として評価されている建造物である。
かつては宇和島市津島町と愛南町を結ぶ重要な交通路であったが、昭和36年に二度の大崩落を起こした後、幾度かの小規模な崩落を繰り返し、やがて現道の「鳥越ずい道」にその役割を譲った。
現在、坑門は封鎖されており、荒れ果てた旧道と共に人々の足が遠のいた場所となっている。
しかし、そこで囁かれるのは、単なる廃隧道の物語ではなく、血と霊の気配に満ちた心霊の噂である。
旧鳥越トンネルの心霊現象
旧鳥越トンネルの心霊現象は、
- 車で通ると、ボディに血の手形が付着する
- トンネル内部で車のライトを消し、3秒間クラクションを鳴らすと作業員の霊が現れる
- 徒歩で進むと、トンネルの長さが伸び縮みするかのように感覚が狂わされる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名なのは、「血の手形」の現象である。
車で旧鳥越トンネルを通過すると、窓ガラスやドアにべったりと赤黒い手形が残るというのだ。
誰もいないはずの廃隧道で、突然生じる血痕のような跡は、過去の事故や崩落で命を落とした者たちの怨念が刻み込まれているかのようである。
次に恐れられるのは、ライトを消してクラクションを鳴らす儀式である。
わずか3秒間の闇の中に、工事中に命を落とした作業員の霊が姿を現すと伝えられている。
これを試した者は、暗闇に浮かび上がる人影や、車内に響く呻き声を耳にしたと語る。
また徒歩で隧道を進む者は、異様な感覚に襲われる。
たどり着けるはずの出口が遠のき、振り返れば入口もはるか後方に霞む。トンネルそのものが呼吸するかのように長さを変えるという怪現象は、空間そのものが歪んでいるとしか思えないものである。
旧鳥越トンネルの心霊体験談
ある人物は、同じ会社の後輩が旧鳥越トンネルに足を踏み入れた際の恐怖を語っている。
その後輩は車でトンネルを抜けただけであったが、帰宅後に車体を確認すると、無数の血の手形がドアや窓に付着していたという。
洗車をしても容易には落ちず、赤黒い痕跡がしつこく残り続けたとされる。
この体験談は現地に近い人々の間で広まり、旧鳥越トンネルを「触れてはならぬ場所」と印象づける一因となっている。
旧鳥越トンネルの心霊考察
旧鳥越トンネルにまつわる怪異は、偶然や錯覚で説明するにはあまりにも生々しい。
血の手形は、崩落事故で犠牲となった者たちの「助けを求める叫び」の形であり、ライトを消す儀式で現れる作業員は、その魂が暗闇に取り残されたままの証拠である。
さらに、トンネルの長さが変わる感覚は、時空がねじれ、現世と異界の境界が重なり合っているために生じるものだと考えられる。
旧鳥越トンネルは単なる廃隧道ではなく、血と怨念が堆積した異界の入口である。
訪れる者は必ずその気配に触れ、そして何かを連れ帰ることになるだろう。
コメント