徳島県徳島市の眉山中腹に位置する西部公園は、500本のソメイヨシノが咲き誇る桜の名所として知られている。しかしその美しさの裏には、かつて旧日本陸軍の墓地だったという重い歴史が横たわっており、夜になると不可解な現象や幽霊の目撃談が語られている。今回は、西部公園にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
西部公園とは?

西部公園(せいぶこうえん、Sebu Park)は、徳島市加茂名町庄山に位置する自然豊かな公園である。
1958年(昭和33年)に、旧徳島陸軍墓地を整備して開設された。公園の総面積は48,895平方メートルに及び、約500本のソメイヨシノが植えられている。
桜の季節には市内外から多くの花見客が訪れ、日本さくら名所100選にも選出されている。
しかし、昼間の穏やかさとは裏腹に、夜になるとこの公園はまったく異なる表情を見せる。
元陸軍墓地という背景もあり、訪れる者の間では“心霊スポット”として密かに語り継がれてきた場所なのである。
西部公園の心霊現象
西部公園の心霊現象は、
- 男性の霊が現れる
- 旧日本陸軍の足音が聞こえる
- 黒い影に見つめられる
- 桜の木の下で耳鳴りや視界の歪みが起こる
である。以下、これらの怪異について記述する。
男性の霊が現れる
夕刻を過ぎ、公園内の坂道を登っていくと、ときおり「人の気配」を感じるという報告がある。
街灯の届かぬ薄暗がりの中、突然現れるのは、軍服らしきものを身にまとった男性の霊であるという。
立ち尽くすその姿は、何かを訴えかけてくるようであり、眼を合わせた者は「動けなくなる」ほどの恐怖に包まれるとされている。
旧日本陸軍の足音
この公園は、かつて旧日本陸軍の戦没者を祀った墓地であった。
そのためか、戦時中の記憶が今もこの地に残っているのかもしれない。
深夜、公園を訪れた者が耳にするのは、「ザッ…ザッ…」と規則的に響く軍靴の音である。振り返っても誰もいない。
にもかかわらず、その足音は近づいてくる。
終戦を知らず、今もなお行進を続ける兵の霊がこの世を彷徨っているのではないか。
黒い影に見つめられる
ある若者が夜中に訪れた際、坂の上から「スーッ」と滑るように降りてくる黒い影を目撃したという。
形は人間に似ていたが、どれほど近づいても“ただの影”のままであった。
その影は街灯の光を浴びても黒さを失わず、まるでこちらを凝視しているかのように動かなかった。
逃げ出した後も、ふと振り返ると、影はまだ坂の上から動かず、見下ろしていたという。
桜の木の下での異常
特に満開の時期、桜の木の下に立つと「耳鳴りが止まらない」「視界がゆがむ」「急に寒気がする」といった体験談が寄せられている。
陽の光を浴びる昼間には華やかで人々の憩いの場であるが、夜になるとその花びらは墓地の供養の象徴に変わり、魂を慰めるどころか、逆に呼び寄せてしまうのかもしれない。
西部公園の心霊体験談
ある晩、数人の若者が肝試し目的で西部公園を訪れた。辺りはしんと静まり返り、ただ風が枝を揺らす音だけが耳に届く。
そんな中、彼らの目の前に、坂をゆっくりと登っていく“人影”が現れた。暗がりで顔までは見えなかったが、その姿は確かに“人間”のように見えたという。
しかし、それは街灯の明かりの下に差しかかっても、まったく輪郭を浮かび上がらせなかった。
影のまま、立ち止まり、彼らの方へと視線を向けている。次の瞬間、彼らは恐怖に駆られて駆け出した。
だが、背後から「コツ…コツ…」という足音が追ってきた。振り向くと、あの影はやはりこちらを見ていたという。
彼らは無我夢中で山を下りたが、後日、そのうちの一人が原因不明の高熱にうなされたとも語られている。
西部公園の心霊考察
西部公園の心霊現象は、その立地と歴史に強く根差していると考えられる。
もともとは戦没者の眠る墓地であり、その後、公園として整備されたことにより、“人々が遊ぶ場所”と“死者が眠る場所”が同居する形となった。
公園の美しさを象徴するソメイヨシノの並木も、実は供養のために植えられたものであり、それ自体が“祈り”の意味を持つとすれば、夜に起こる異変もまた偶然ではない。
昼と夜、光と闇、生と死が交差するこの地で、霊的な現象が起こることはごく自然ともいえる。
また、公園に隣接する霊園の存在も見逃せない。土地の“気”そのものが死者に向いており、それが夜になると敏感な人間に影響を与えているのではないだろうか。
心霊好きにとっては、これほど完璧に“整ってしまった”場所も珍しいといえよう。
コメント