須磨海岸は、美しい砂浜と穏やかな波で知られる人気の観光地である。しかし、その歴史を遡ると、かつては「自殺の名所」として恐れられ、多くの命が失われた場所でもあった。また、海難事故も多発し、溺死者の霊が泳ぐ人を引きずり込むという噂もある。今回は、須磨海岸にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
須磨海岸とは?

須磨海岸(すまかいがん)は、兵庫県神戸市須磨区に位置する美しい海岸である。
かつては「白砂青松」の景勝地として知られ、現在は阪神間唯一の自然海岸として、多くの観光客や海水浴客で賑わう場所である。
須磨海水浴場は関西屈指の海水浴スポットであり、夏には多くの人々が訪れる。
しかし、その華やかさとは裏腹に、かつてこの場所は「自殺の名所」としても知られていた。
特に1927年(昭和2年)には、一年間で自殺者67人、未遂者127人という異常な数の自殺が発生した記録が残っている。
その後も幾度となく自殺が繰り返され、須磨海岸には未だに多くの霊が彷徨っているという。
さらに、須磨海岸では水難事故も頻発している。
観光客で賑わう海水浴場にしては異常なほどの事故率を誇り、その背景には「自殺者の霊が泳いでいる人を海へ引きずり込む」という恐ろしいウワサがある。
須磨海岸の心霊現象
須磨海岸で語り継がれる心霊現象は、
- 夜な夜な男の幽霊が一文字突堤の上に現れ、「おいでおいで」と手招きする
- 手招きされた者は、見えない力に引っ張られ海へ引きずり込まれる
- 漁師が警官を連れて霊の調査をした際、その警官までもが海へ引きずり込まれそうになった
- 心霊現象が相次ぎ、地元の人々が僧侶を呼んでお祓いを行った
- 海水浴客が突然足を取られ、溺れて亡くなる事故が後を絶たない
- 夜の海岸では、すすり泣く声やうめき声が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
一文字突堤の男の幽霊
須磨海岸の東側、ヨットハーバー寄りの沖合には「一文字突堤」と呼ばれる人工の堤防がある。
この突堤の上には、夜な夜な男の幽霊が現れるという。
男の幽霊は、まるで誰かを誘うように砂浜に向かって「おいでおいで」と手招きをする。
この幽霊の招きを見た者は、見えない何かに引っ張られ、ズルズルと海へ引きずり込まれるという。
地元の漁師たちはこの噂を耳にし、ある日、警官を連れて調査に向かった。
しかし、そこで驚くべき事態が起こる。
幽霊を確認しようとした警官までもが何者かに足を掴まれ、海へ引きずり込まれそうになったのだ。
恐怖した漁師たちは、地元の寺院から僧侶を招き、お祓いを行ったという。
水難事故の多発と自殺者の霊
須磨海水浴場では、異常なほどの水難事故が発生している。
多くの人々が楽しく泳ぐ中、突然何者かに足を掴まれ、そのまま海底へと引きずり込まれるという話が絶えない。
地元の人々の間では、これは過去にこの海で命を落とした自殺者の霊が生者を道連れにしようとしているからだと信じられている。
溺れた人の中には、「何かが足を引っ張ってきた」と証言する者もいるという。
また、須磨海岸の海の家で働いていたアルバイトの証言によると、夜の海岸で、すすり泣く声や低いうめき声が聞こえることがあるという。
静まり返った夜の海に、悲痛な声が響く。
まるで、ここで命を絶った者たちの魂が未だに成仏できず、さまよい続けているかのようである。
須磨海岸の心霊体験談
以下は、須磨海岸で実際に体験された心霊現象の一例である。
体験談① 夜の浜辺での奇怪な足音
「夜に須磨海岸を歩いていた時、後ろから足音がついてくるのに気がついた。でも、振り返ると誰もいない。不審に思って歩き続けたが、足音はどんどん近づいてくる。怖くなって走り出したら、足音もこちらの速度に合わせるように速くなった。そして、浜辺の端まで逃げた時、突然足音がピタリと止まった。振り返ると、そこには青白い顔をした男が立っていた。気がついたら意識を失っていて、気がつくと朝になっていた……」
体験談② 見えない手に引っ張られる
「昼間、友人と須磨海水浴場で泳いでいた時、突然足首を掴まれた。最初は友人のいたずらかと思ったが、周囲を見ても誰もいない。それでも、強い力で足が引っ張られる。必死で水面に出ようとしたが、どんどん沈んでいく感覚があった。もうダメだと思った時、急に力がなくなり、なんとか浮上できた。でも、岸に上がると足首にはくっきりと手の形のような痣が残っていた……」
須磨海岸の心霊考察
須磨海岸での心霊現象の多くは、過去の歴史と深い関わりがあると考えられる。
- 自殺の名所として知られた歴史
- 水難事故の多発
- 夜な夜な出現する手招きする男の幽霊
これらの要因が重なり、須磨海岸には今も多くの霊が彷徨い、時には生者へと危害を加えているのではないだろうか。
自殺者の霊が成仏できずに海岸をさまよい、新たな犠牲者を求めていると考えれば、この場所で多発する水難事故の説明もつく。
そして、一文字突堤の幽霊は、まさにその象徴なのかもしれない。
このような背景を知ると、須磨海岸の美しい風景の裏に潜む、恐ろしい闇を感じずにはいられない。
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