兵庫県西宮市の弁天池には、「牛女」と呼ばれる恐ろしい怪異が潜むと噂されている。戦国時代の悲劇が生んだ怨霊なのか、それとも別の存在なのか…。今回は、弁天池の牛女にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
弁天池の牛女とは?

弁天池は、西宮市の鷲林寺境内にある小さな池で、古くから不気味な伝承が語り継がれている。
この寺は、平安時代に弘法大師・空海によって開かれたとされる真言宗の寺院で、戦国時代には織田信長による焼き討ちに遭い、一度は壊滅した歴史を持つ。
その弁天池には、戦国時代に命を落とした一人の姫にまつわる怪異が伝わっている。
ある城主の娘が信長軍の攻撃を逃れて寺に身を潜めたが、追手に見つかり、寺ごと焼き払われた。
炎に包まれた彼女は、苦しみのあまり池に飛び込み、強い怨念を残したままこの世を去ったという。
そして今もなお、その怨霊が「牛女」となって池の周りを彷徨っていると囁かれている。
弁天池の牛女の心霊現象
弁天池の牛女の心霊現象は、
- 丑三つ時に牛の蹄の音が聞こえる
- 池の祠を反時計回りに三周すると、牛女が現れる
- 振り返ると、頭が女で体が牛の異形が追いかけてくる
- 池の近くで不可解な人影や気配を感じる
である。以下、これらの怪異について記述する。
蹄の音が迫る怪異
深夜の丑三つ時、弁天池周辺では「カツ…カツ…」という蹄の音が響くことがあるという。
その音は徐々に近づいてくるが、周囲を見渡しても姿は見えない。
しかし、決して振り返ってはいけない。振り返った者は、牛女と目が合い、恐ろしい目に遭うとされている。
祠を三周した者に訪れる恐怖
弁天池の祠を午前2時に時計と逆回りに三回まわると、異変が起こる。
帰る途中、背後から「カツ…カツ…」という蹄の音がついてくるのだ。
恐る恐る振り返ると、そこには「頭は女、体は牛」の異形がこちらを睨みつけている。
そして、恐怖で動けない者を追い詰めるようにゆっくりと歩み寄ってくるという。
池の周囲に漂う怪しい気配
池の近くでは、時折、誰かが後ろに立っているような気配を感じることがあるという。
振り向いても誰もいないはずなのに、首筋に冷たい息がかかることがある。
そして、その場から動けなくなる者もいる。
まるで何かに足を掴まれているような感覚に陥るのだ。
弁天池の牛女の心霊体験談
「祠を回った者の末路」
ある肝試し好きの若者が、興味本位で弁天池の祠を反時計回りに三周した。
すると帰り道、背後からカツ…カツ…と蹄の音がついてくる。
冗談半分で振り返った瞬間、目の前にいたのは、人間とは思えない異形の存在だった。
彼は恐怖のあまりその場に崩れ落ち、仲間に引きずられるようにして車まで戻ったという。
しかし、その後も彼の耳には、夜になるとあの蹄の音が聞こえ続けたそうだ。
「池に沈む何か」
夜中に池を訪れた者の中には、池の水面に何かが沈んでいるのを目撃した者もいるという。
それは人の顔のように見えたが、じっと見ていると突然水面が揺れ、消えてしまった。
まるで水の中から誰かが覗いていたかのようだったという。
弁天池の牛女の心霊考察
弁天池にまつわる怪異は、戦国時代の悲劇と深く結びついている。
織田信長の焼き討ちによって命を落とした姫の怨念が、この地に留まり続けているのだろうか。
また、弁天池には「幽霊を封じるために鐘を沈めた」という伝承もある。
これは、村人たちが姫の霊を鎮めようとした名残ではないかと考えられる。
しかし、それでも怪異は消えず、牛女となった姫の怨念は今もなおこの地に留まり続けているのかもしれない。
さらに、「牛女」という存在は、日本各地に伝わる「件(くだん)」という半人半牛の妖怪とも関連がある可能性がある。
件は未来を予言するとされているが、弁天池の牛女もまた、何かを警告するために現れるのだろうか…。
弁天池にまつわる怪談は、単なる伝説なのか、それとも本当に存在する怨霊なのか。
深夜、この池を訪れる者は、決して振り返ってはならない——背後には、異形の女が潜んでいるかもしれないのだから…。
コメント