大分県宇佐市にある東光寺五百羅漢には、「石仏が語りかけてくる」「自分そっくりの羅漢像に出会える」などの不思議なウワサがある。中には、霊の目撃談や石像の異変を体験したという声もあり、ただの歴史的遺産とは一線を画す存在である。今回は、東光寺五百羅漢にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
東光寺五百羅漢とは?

東光寺五百羅漢は、大分県宇佐市江須賀に位置する医王山東光寺の境内にある石仏群である。
その始まりは安政6年(1859年)、東光寺15代住職・道琳和尚が、干ばつに苦しむ農民を救うために、日出町の石工に依頼して羅漢像の制作を始めたことによる。
以来、明治15年(1883年)まで24年間をかけて、実に521体もの羅漢像が彫り上げられた。
これらの石仏は、喜怒哀楽をはじめとする人間の様々な感情を表現しており、その中には「自分にそっくりな羅漢が必ずいる」とも言われる。
五百羅漢は現在、宇佐市の有形民俗文化財にも指定されており、本堂裏には十六羅漢や仏足石も併せて見学可能である。
東光寺五百羅漢の心霊現象
東光寺五百羅漢の心霊現象は、
- 羅漢像が話しかけてくる
- 自分に似た羅漢像がじっとこちらを見つめてくる
- 男性の霊が出現する
- 羅漢像の中に生きた人間のような表情が現れる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名な心霊現象が、「羅漢像が話しかけてくる」というものである。
参拝者が石仏の前で手を合わせていると、突然誰かの声が耳元で語りかけてくるという。
その内容は決して脅かすものではなく、「気をつけよ」「今は進むべき時である」といった、まるで人生の指南のような助言である。
こうした声を聞いた者は、「あれは羅漢の声だった」と語ることが多い。
次に、「自分に似た羅漢像がある」という不思議な体験も多く報告されている。
その羅漢像をじっと見つめていると、不意にその石像が生きた人間のような表情を見せることがあるという。
目が合ったような錯覚を覚えたり、まばたきを見たという証言すら存在する。
また、夜間や人の少ない時間帯には、境内で「男性の霊が歩いているのを見た」という報告も複数ある。
この霊は住職道琳の魂ではないかと考える者もおり、五百羅漢を通して人々に何かを伝えようとしているのではないかという説もある。
東光寺五百羅漢の心霊体験談
ある女性が、午前中に東光寺五百羅漢を訪れた際の体験談である。彼女は、羅漢像を順に眺めながら「やはりどれも表情が豊かで面白い」と感じていたという。
やがて、ふと一体の羅漢像に目が留まり、なぜか「この人、私に似てる」と思ったという。
その像を見つめていると、突然耳元で「もう少し、我慢なさい」という声が聞こえた。
周囲に誰もいないことを確認して背筋が凍りついたというが、その言葉がまるで自分の人生の悩みに対する答えのように感じられたという。
東光寺五百羅漢の心霊考察
東光寺五百羅漢における心霊現象の根源には、仏教的な「霊性」の高さが関係していると考えられる。
羅漢像が話しかけてくるという現象は、亡くなった道琳和尚の霊が像を介して語っているとも解釈できるが、仏教における「仏の化身」としての羅漢が、人々に悟りの導きを与えていると考える方が自然である。
また、「自分に似た羅漢像がある」という言い伝えは、心の中の自分自身と向き合うための象徴的な現象とも捉えられる。
霊的存在としての羅漢ではなく、心理的な投影としての「心霊体験」である可能性も否定できない。
それでもなお、複数の人々が同様の体験を語っている事実からは、この地に特別な霊的エネルギーが存在していることを感じさせる。
恐ろしい心霊スポットではなく、「語りかけ、導く霊的な場所」として、東光寺五百羅漢は一線を画していると言えるだろう。
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