八国山緑地――『となりのトトロ』の舞台とも言われるこの静かな森は、日が沈むと異なる一面を見せる。昼間の穏やかさが嘘のように、夜には数々の心霊現象がささやかれる。今回は、八国山緑地のウワサの心霊話を紹介する。
八国山緑地とは?
東京都立八国山緑地(はちこくやまりょくち)は、東京都東村山市に位置する都立公園である。
交通アクセス
最寄駅: 西武西武園線の西武園駅から徒歩約10分。
他の駅から: 西武新宿線の東村山駅から徒歩約15分。
駐車場: 直営の駐車場はないが、西武園の有料駐車場を利用することが可能である。
概要
八国山緑地は、狭山丘陵の東端に位置し、北側を埼玉県所沢市に接する東西に細長い緑地である。
東西約1.5 km、南北約300 mの広がりを持ち、南側には西武鉄道西武園線が通っている。
緑地内には標高89.4 mの「八国山緑地」があり、頂上地点は存在しない。
この八国山緑地の名称は、かつてこの場所から上野、下野、常陸、安房、相模、駿河、信濃、甲斐の8つの国が望めたことに由来する(現在は樹木が茂り、展望は望めない)。
また、八国山緑地は新田義貞が「久米川の戦い」で陣を張った場所としても知られる。
尾根の東部には「将軍塚」と書かれた石碑が建てられているが、元となった塚は富士塚、もしくは古墳と考えられている。
この地域はかつて律令時代の官道「東山道武蔵路」が通っていたとされる。
将軍塚付近の谷戸地形からは、溝や切通し跡と見られる遺構や、8世紀頃の須恵器が発見されている。
園内にはクヌギやコナラなどの雑木林や原っぱが広がり、武蔵野の自然が残されている。散策や野鳥・昆虫の観察にも適している。
アニメ『となりのトトロ』との関係
この緑地は、アニメ映画『となりのトトロ』に登場する「七国山」のモデルとなった場所である。
また、サツキとメイの母が入院していた「七国山病院」のモデルとなった新山手病院も、敷地内に位置している。
八国山緑地の心霊現象
八国山緑地の心霊現象は、
- 落ち武者の霊が彷徨っている
- 女の子の霊がおいでよと手招きしている
である。となりのトトロのモデルとなった七国山の森。
昼間は静寂に包まれているが、夜になると様相が一変する。
森の奥深くから、甲冑をまとった落ち武者の霊がさまよう姿が現れる。
時折、誰もいないはずの山の頂上から「おいでよ…」と、不気味に響く声が風に乗って耳に届く。
地元では、高校生くらいの女の子の幽霊が出るという話である。
具体的には、その姿は決して無邪気なものではなく、牙を剥いた恐ろしい顔で、暗闇の中から「おいでおいでよ…」と手招きするという。
その声に誘われるように一歩でも踏み出せば、二度と元の世界には戻れないだろう。
八国山緑地の闇に潜むもの
これは、私が高校生の頃、八国山緑地で体験した恐怖の話である。
八国山緑地は、映画「となりのトトロ」に登場する「七国山病院」のモデルとなった場所であり、穏やかな森が広がっている。
近隣には大きな病院や住宅街が隣接しており、特にお年寄りが健康のために散歩している姿がよく見られる。
私は、足腰を鍛えるためにこの緑地を訪れていた。
道はなだらかで歩きやすく、トレーニングに最適であった。
ある日の夕方、私はいつも通りトレーニングをしていたが、気がつくと日が沈み、森が徐々に暗くなっていくのがわかった。
急いで帰ろうと考えたが、思った以上に早く日が暮れ、森の中はあっという間に真っ暗になった。
周囲は大きな木々に囲まれており、月も星も見えない漆黒の闇が広がっていた。
私は焦りながらも、一方向に歩き続ければ街に出られるだろうと考えた。
少しでも高い場所に行けば街の明かりが見えるはずであり、その光を頼りに進めばなんとかなるだろうと思った。
しかし、心のどこかで不安が消えなかった。
やがて、木々の間からわずかに光が見えたとき、私は少し安心した。
道は見当たらなかったものの、大きな遊歩道に出たので、これをたどれば街に出られるだろうと信じていた。
しかし、それは私の甘い考えであった。
突然、私の足元が崩れ、体が急に傾いた。
滑り落ちた先は、さらに暗い深い森の中であった。
ケガはなかったが、全身が冷たい汗でびっしょりになった。
真っ暗な中で何度も転び、手探りで元の道を探そうとしたが、何も見えなかった。
ふと、暗闇の中で何かが動いているのを感じた。
白い影が、すぐそばの木々の間をゆっくりと横切っていくのが見えた。
私は凍りついた。直感的に、それが動物ではないことを感じ取った。
恐怖に震えながらも、なぜかその影に引き寄せられるように近づいていった。
近づくにつれ、それが人間の姿をしていることがわかった。
白い服を着た若い女性のようであったが、顔は下を向き、体はうずくまったまま動かない。
声をかけても返事はなく、その姿勢のまま微動だにしない。
恐る恐る手を伸ばしてその女性に触れると、異様に冷たい感触が伝わってきた。
そして、顔をよく見ると、そこには目を閉じた、まるで死んだような表情の女の子がいた。
全身が凍りつくような恐怖に襲われ、私はその場から逃げ出したい一心で背を向けたが、なぜか足が動かなかった。
そのとき、後ろから「おいで」という囁くような声が聞こえた。
振り返ると、先ほどの白い影がこちらをじっと見つめ、手招きをしていた。
恐怖に駆られた私は、必死にその場を離れようとしたが、足が鉛のように重くなり、動けなくなってしまった。
何かが背後から近づいてくる気配を感じ、次の瞬間、視界が真っ暗になった。
気がつくと、私は病院のベッドで目を覚ました。
後から聞いた話によると、私はあの日、意識を失って八国山緑地で倒れていたところを発見されたそうである。
それ以来、私は二度と八国山緑地には足を踏み入れていない。
あの白い影が本当に何だったのか、今でも答えはわからない。
ただ一つ確かなことは、あの「おいで」という声が、私の記憶に鮮明に刻まれているということである。
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