長崎県雲仙市にかつて存在した「雲仙ニューグランドホテル」。その廃墟には、多くの不可解な体験が語り継がれている。今回は、雲仙ニューグランドホテルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
雲仙ニューグランドホテルとは?

雲仙ニューグランドホテルは、1968年(昭和43年)に旅館松本屋の経営者であった松本甚十郎により開業された。
鉄筋コンクリート造4階建ての大規模な施設であり、和室50室、最大250名の団体収容が可能な宴会場(110畳・54畳・25畳)を備え、しっぽく料理や青竹焼き、名物のロクベエを自慢としていた。
開業当初は地域を代表する観光ホテルであったが、1990年前後には閉業。建物はそのまま放置され、窓ガラスは割れ、天井は崩落し、館内には物品が散乱するなど、荒れ果てた廃墟と化した。
また、敷地内には源泉が残り、閉業後も温泉が湧き続けるという奇妙な状態が続いた。
2010年10月、老朽化と崩落の危険によりついに解体されたが、その存在は今なお、心霊の話とともに語り継がれている。
雲仙ニューグランドホテルの心霊現象
雲仙ニューグランドホテルの心霊現象は、
- 少年の霊が現れる
- 足音が聞こえる
- 誰もいないのに声がする
- 腰から上が存在しない女性の霊
- ドアが勝手に閉まる
である。以下、これらの怪異について記述する。
腰から上がない女性の霊
肝試しで訪れた若者グループが最上階まで探索した際、全てのドアが開いていることを確認していた。
しかし、一階へ戻る途中、いくつかのドアが何故か閉まっていた。
風によるものと自分たちを納得させようとした矢先、一人の若者が小声で言った。
「後ろを振り向くな。静かに戻れ」
その場にいた全員がパニック状態で車まで逃げ帰った。
後にその若者が語ったのは、背後から「赤いハイヒール」と「赤いスカート」が視界に入ったこと。
そして――「腰から上が、なかった」。
足音と声
誰もいないはずの館内で、「コツコツ…」と廊下に響くヒールの足音。
呼び止めるような、あるいは嘲笑うような声が、どこからともなく聞こえてくる。
まるで見えない何かが、そこに“いる”ことを訴えてくるかのようである。
少年の霊
探索者の中には、客室の一角でじっと立ちすくむ少年の姿を見たという者もいる。
だが、その姿は気づくと消えており、後に写真を見返すと窓際にぼんやりと立つ「誰か」が写っていたという報告もある。
勝手に閉まるドア
風が通らないような場所でも、ドアが「バタン」と音を立てて閉まる現象が何度も目撃されている。
とくに最上階の個室周辺ではこの現象が頻発していたという。
雲仙ニューグランドホテルの心霊体験談
ある修学旅行でこのホテルに宿泊したという人物の証言によると、部屋全体がすすで汚れており、異様な空気が漂っていたという。
「開けずべからず」と記された防火扉を開けた途端、突風のような気配が向かってきたといい、その直後、友人の一人が仮眠中に金縛りに遭い、怯えた様子で浴室に駆け込んできたという。
さらにその夜、肝試しに出かけた一行の中の一人が、鳥居の並ぶ道で「肩を強く押さえつけられる感覚」に襲われ、やがて動けなくなった。
周囲はふざけていると思い両腕を引っ張って進もうとしたが、本人は「この先に進むと誰かが怪我をする」と直感的に告げたという。
その直後、一行は道に迷い、沼に出た地点でその本人は突然「腎臓破裂」という重傷を負った。
新聞にも掲載されたが、原因は特定されなかったという。
この体験の後、そのホテルはまもなく突如廃業。そして現在は一部を残したまま跡地となっている。
なぜ更地にならず一部だけが残されているのかは、今なお不明である。
雲仙ニューグランドホテルの心霊考察
このホテルにまつわる怪異には、一貫した“気配”がある。
それは「見てはいけないものが存在している」という恐怖だ。
女性の霊の目撃証言、ドアの不可解な動き、声や足音――これらは廃墟に漂う残留思念や、土地に染みついた怨念のようなものかもしれない。
また、少年の霊や腎臓破裂という不可解な事故も、「この場所に何かが宿っている」可能性を示唆している。
修学旅行生の体験では、防火扉や鳥居など“結界的構造”に反応したような霊的存在があったようにも感じられる。
おそらく、閉業後も温泉が湧き続けるという奇妙な特性も、この地の霊的エネルギーを語る上で無視できない要素であろう。
今やホテルは解体されているが、「なぜ一部だけが残されたのか」という謎は解明されていない。
それこそが、雲仙ニューグランドホテルが「本当に終わっていない」ことを暗示しているのではないだろうか。
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