福岡県篠栗町にある若杉山は、古くから霊山として信仰を集めてきた一方で、自殺や事故が多発する場所としても知られている。今回は、若杉山にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
若杉山とは?

若杉山とは、福岡県糟屋郡篠栗町と須恵町の境界にそびえる標高681メートルの山である。
山全体が老杉に覆われており、古くから信仰の対象とされてきた霊峰である。山中には「篠栗四国霊場八十八カ所」のうち半数以上の札所が点在しており、信仰者にとっては修行と祈りの場である。
とくに山頂付近には、弘法大師が修行をしたと伝えられる「若杉奥之院」が鎮座しており、その霊的な空気から多くの人々が訪れる。
ただしこの山は、霊的なパワースポットであると同時に、長年にわたり数々の不可解な事故や自殺が相次ぐ「死を呼ぶ山」としても恐れられている。
その穏やかな外観に反して、若杉山には人智を超えた何かが潜んでいると噂されている。
若杉山の心霊現象
若杉山で語られる心霊現象は、
- 若杉奥之院のトイレで目撃される女性の霊
- 山中に漂う「自殺者の気配」
- 無人のはずのキャンプ場で感じる視線とうめき声
- 過去の事件・事故に伴う霊的な残留思念の噂
である。以下、これらの怪異について記述する。
若杉奥之院のトイレで現れる女性の霊
若杉奥之院周辺では、過去に首吊り自殺が複数件発生しているとされ、特に奥之院のトイレは「絶対に一人で入ってはいけない場所」として知られている。
ある登山者は、トイレに入った瞬間、背後に誰かが立っている気配を感じたという。
振り返ると誰もいない。しかし鏡に映ったのは、自分の後ろにぼんやりと立つ、顔の半分が黒く焼けただれた女性の姿だった。
自殺者の気配が漂う山
この山では、例年のように遭難や事故、そして自殺が後を絶たない。
山中を歩いていると突然空気が重くなり、異様な寒気に襲われるという報告も多い。
まるで「ここに来てはいけなかった」と訴えかけるような、何かの意志が働いているかのような感覚に陥る者もいる。
キャンプ場での奇怪な体験
とある男性が、三十数年ぶりのキャンプを楽しもうと訪れた夜、誰もいないはずの森の奥から「ビュウウウ……あ゛あ゛あ゛……」と、風に混じって呻くような女の声を聞いたという。
誰かに見られているような気配に耐えきれず、夜明けを待たずして撤退した。
後日その場所を調べると、かつてそのキャンプ場近辺で焼死体が発見された事件があったという。
過去の事件・事故の影
若杉山に関する事件は後を絶たない。たとえば2021年には、山に登ったまま行方不明になっていた72歳の女性が、近隣の山で遺体となって発見されている。
また、2018年にはキャンプ場で爆発があり、テントごと焼けた中から遺体が見つかっている。
さらに、2000年頃にはカップルの車が山道から転落し、2人とも命を落としたという未確認の噂もある。
これらの出来事は、山に取り憑く“何か”が人を招き入れ、還さないのではないかとの恐怖を掻き立てる。
若杉山の心霊体験談
ある男性の体験によれば、「久しぶりのキャンプに興奮していたが、キャンプ場の夜は何かがおかしかった」という。
風が木々を揺らす音に交じって、明らかに人間の声が混じっていたというのだ。
森の中から、どこか悲しげな呻き声のようなものが聞こえ、視線を感じて振り返っても誰もいない。
やがて、身体の芯から冷えるような恐怖に襲われ、キャンプを中断し山を後にしたという。あの晩、彼が聞いた声の主は、本当に“誰か”だったのかもしれない。
若杉山の心霊考察
若杉山は、古来より霊山として信仰の対象とされてきた。
霊場には高い霊的エネルギーが集まるといわれるが、それが必ずしも“善なるもの”とは限らない。
奥之院周辺で頻発する自殺や事故、目撃される霊的存在は、長年の信仰と苦しみの念が混ざり合い、特異な霊場を形成している可能性がある。
また、山は自然というより“意志”を持った何かのように振る舞う。
訪れた者の精神を揺さぶり、時には命すら奪う。若杉山は、ただの登山スポットや信仰の場ではない。
そこに足を踏み入れるということは、未知なる存在と対峙する覚悟が求められるということなのかもしれない。
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