岩手県盛岡市に位置する『綱取ダム』には、古くから心霊の噂が絶えない。日中は釣り人で賑わうこの場所も、夜になると空気が一変し、自殺者や少女の霊が現れるという不気味な話が語られている。今回は、綱取ダムにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
綱取ダムとは?

綱取ダム(つなとりダム)は、岩手県盛岡市の中津川上流に建設された重力式コンクリートダムである。
1972年より調査が始まり、1982年に竣工。高さは59メートル、堤頂長は247メートルにおよぶ。
総貯水容量は1,500万立方メートルを誇り、洪水調節、不特定利水、上水道供給など、多目的に機能する重要施設である。
また、独自の工法や国産第1号のクロスフロー水車の導入など、技術面でも注目されるダムであるが、その一方で、かつての水難事故や自殺の多発により、現在では心霊スポットとしての側面も併せ持つようになっている。
昼間は釣り人で賑わう綱取ダムも、夜の帳が下りると異様な静けさに包まれ、ただならぬ気配を漂わせる場所へと姿を変える。
綱取ダムの心霊現象
綱取ダムの心霊現象は、
- 湖面を見つめる少女の幽霊が現れる
- 声が聞こえる
- 自殺者の霊がさまよっている
- 夜になると空気が一変し、異様な重さに包まれる
である。以下、これらの怪異について記述する。
綱取ダムで最も有名な心霊現象は、少女の幽霊の目撃談である。
白い服を纏い、感情の読み取れぬ無表情のまま、ダム湖の方向をじっと見つめて佇んでいるという。
彼女に声をかけると、その瞬間に何かが“憑く”という恐ろしい噂がある。
地元では「絶対に話しかけてはいけない」と強く戒められている存在である。
また、夜になると、耳元で誰かが囁くような声が聞こえることがあるという。
「誰もいないはずなのに、人の気配を感じた」「背後に立つ気配がした」といった体験談が後を絶たない。
特に深夜帯は空気そのものが重くなり、異常な寒気に襲われることもあるという。
加えて、かつて綱取ダムでは複数の自殺があったとされ、その霊が今なお成仏できず、湖畔を彷徨っているという。
薄暗い夜の水面に浮かぶ影、それが人なのか、霊なのか、見極めることは難しい。
近づくだけで悲壮な感情が流れ込んでくるという証言もある。
綱取ダムの心霊体験談
ある夜、釣りを終えて帰ろうとした男性が、ダム湖の縁に佇む白い服の少女を目撃したという。
「どうしてこんな時間に子供が……?」と違和感を覚えながらも、声をかけようとした瞬間、全身に鋭い痛みのような寒気が走り、視界が一瞬歪んだ。
その後、少女の姿はかき消すように消えたという。
以来、その男性は原因不明の頭痛や金縛りに悩まされるようになったとのことである。
綱取ダムの心霊考察
綱取ダムが心霊スポットとして知られるようになった要因は、いくつかの要素が重なっていると考えられる。
まず、実際に報告されている自殺の多さが挙げられる。
水面に吸い込まれるように命を絶った者たちの無念は、時間を経てもなお、この地に残留しているのかもしれない。
霊的存在に敏感な人ほど、強い悲しみや怒りを感じる場所だという。
次に、少女の霊の存在である。
彼女は何の因果でこの地に縛られているのか、なぜ無言で湖面を見つめ続けているのか――そこには語られざる事故や、闇深い過去があるのかもしれない。
さらに、夜の綱取ダムが醸し出す雰囲気も、恐怖感を増幅させる要素である。
人工構造物でありながら、自然と融合するその姿は、人の理(ことわり)を拒絶するかのようである。
最後に、そうした噂や目撃談が語り継がれることで、「綱取ダム=心霊スポット」という印象が定着し、実際の霊現象に拍車をかけている可能性もある。
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