由布院温泉の隠れ宿「吉祥開運亭 無尽蔵」には、座敷わらしが棲みついているというウワサがある。少年の霊が現れ、誰もいないはずの足音や子どもの声が聞こえるなど、数々の心霊現象が報告されている。今回は、吉祥開運亭 無尽蔵にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
吉祥開運亭 無尽蔵とは?

大分県・由布院温泉のメインストリート「湯の坪街道」沿いにひっそりと佇む『吉祥開運亭 無尽蔵』は、わずか4室のみの隠れ宿である。
2004年に創業され、古民家の梁や天井を再利用した和モダンな空間が魅力の宿でありながら、ひとたび足を踏み入れれば、どこか異様な空気が漂っているのを感じる者も少なくない。
“吉祥”や“開運”といった縁起の良い名前を掲げているのは、この宿に座敷わらしが棲んでおり、その姿を目にした者には幸福が訪れる——そんな不思議なウワサが背景にあるからである。
特に「懿徳(いとく)」という名の部屋では、その霊的存在が顕著に現れるとされ、怪異を体験した宿泊者の証言があとを絶たない。
吉祥開運亭 無尽蔵の心霊現象
吉祥開運亭 無尽蔵の心霊現象は、
- 少年の霊が現れる
- 誰もいないのに足音が聞こえる
- 子どもの声が聞こえる
- オーブが飛び交う
- 怪異の原因は宿の建材にあるという説がある
である。以下、これらの怪異について記述する。
少年の霊が現れる
この宿には“座敷わらし”と呼ばれる少年の霊が現れるという。
特に懿徳の間での出現率が高く、白昼にもかかわらず、障子の隙間からこちらをじっと見つめる姿を見たという証言が複数存在する。
その姿は一瞬で消えるが、目が合った瞬間に心臓が凍るような寒気を覚えたという者も。
誰もいないのに足音が聞こえる
離れの部屋で過ごしていた宿泊者が、「明らかに誰かが廊下を歩いている」音に気づいたという。
確認しても誰の姿もなく、フローリングの上を濡れた足で歩いたような“ペタ…ペタ…”という音が、夜な夜な繰り返されたという。
子どもの声が聞こえる
深夜、寝室に響く甲高い笑い声や、すすり泣くような音が聞こえるという報告が多い。
テレビも消え、スマートフォンも静音になっていた状況で、不自然に聞こえた「…あそぼ…」という声に戦慄した宿泊客もいたという。
オーブが飛び交う
とある宿泊者が室内を撮影した動画には、雪のように舞う白い光の粒——“オーブ”が幾つも映り込んでいた。
玄関、寝室、居間、いたるところで霊的な気配が濃く、特に掛け軸の前では霧のような影が動く様子が確認されたという。
怪異の原因は宿の建材にあるという説
この宿に使われている古材——特に梁や天井は、どこかの古民家から移築されたものであるという。
かつてそこに住み着いていた霊が、建材と共に“移動”してきたのではないかという説が有力であり、それが座敷わらしの正体とする声もある。
吉祥開運亭 無尽蔵の心霊体験談
「懿徳」に宿泊したある宿泊者は、夜中にふと目を覚ました際、足元に誰かが立っている気配を感じたという。
恐る恐る顔を上げると、少年のような小さな影が静かに佇んでおり、やがて音もなく霧のように溶けて消えた。
また、同じく懿徳に泊まった別の宿泊客は、チェックイン直後に部屋をスマートフォンで撮影したところ、動画には大量のオーブが吹雪のように飛び交う様子が映っていたという。
しかも、それは玄関、居間、寝室、どの部屋にも共通して現れていた。
中には、夜中に「お母さん」と呼びかける声が耳元で聞こえ、慌てて起きると部屋には誰もいなかったという体験も報告されている。
吉祥開運亭 無尽蔵の心霊考察
この宿における怪異は、単なる偶然や思い込みでは説明がつかないものばかりである。
少年の霊=座敷わらしの存在は、怪異でありながらも幸運を呼ぶものとされているが、むしろ“遭遇”そのものが、現実と異界の境界線に触れてしまうことの警告なのかもしれない。
また、建材として使用されている古民家の部材が霊的な何かを宿しており、それがこの宿全体を“憑き場”に変えている可能性も否定できない。
由緒ある古材には、時としてそこに住んでいた者の記憶や思念が残留すると言われており、それが夜毎の足音や子どもの声となって現れているのかもしれない。
この宿は、“吉祥”や“開運”という言葉に包まれながらも、じつはその名とは裏腹に、異界への扉がわずかに開いた空間なのではないだろうか。
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