福岡県にある広川ダムには、古くから数多くの心霊現象が囁かれている。訪れた者が不可解な声を聞いたり、霊の姿を目撃したという話が後を絶たない。今回は、広川ダムにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
広川ダムとは?

広川ダムは、福岡県八女郡広川町の水原地区に位置する多目的ダムである。
1972年、大雨による広川の氾濫被害を抑えるために建設され、およそ100万トンの貯水能力を誇る。
かつては川沿いの田畑や集落が幾度となく水害に見舞われていたが、このダムによって被害は大幅に軽減された。
現在では、春には500本もの桜が咲き誇り、夏には野鳥のさえずりと涼風が心地よいレジャースポットとして親しまれている。
ダム周辺には人工的に整備された自然公園が広がり、釣りや森林浴を楽しむ人々で賑わう。
しかし、この穏やかさの裏には、かつての惨劇や死の記憶が封じられているとも囁かれている。
広川ダムの心霊現象
広川ダムの心霊現象は、
- 正体不明の霊が出現する
- 誰もいないはずの場所から声が聞こえる
- 公衆トイレで霊が出るというウワサが絶えない
- 左回りにダムを巡ると幽霊に遭遇するとされている
- 肝試し中に不気味な声を聞いたという証言
- 人魂を見たという体験談が複数存在する
である。以下、これらの怪異について記述する。
最も多く語られるのは、公衆トイレでの怪異である。
夜中、ダムを訪れた者たちは、人気のないトイレの中から何かを引きずるような音や、水の流れる音ではない、何かが呻くような低い声を聞いたと証言している。
また、「ダムを左回りに歩くと幽霊に出会う」とのウワサも広く知られており、これは地元の若者たちの間では半ば都市伝説のように語り継がれている。
実際に左回りで巡った者の中には、途中で体が異様に重く感じたり、誰かに見られているような圧迫感を覚えたという話も存在する。
さらに、ダム周辺で人魂のような光を見た者や、人気のないはずのダム湖畔で名前を呼ばれるような声を聞いた者もいるという。
霊の出現頻度や種類があまりに多岐にわたることから、この場所には未浄化の霊的存在が数多く潜んでいるのではないかという憶測を呼んでいる。
広川ダムの心霊体験談
ある人物は学生時代、友人たちと肝試しに広川ダムを訪れた際、ダム近くの公衆トイレの前で車が突然動かなくなったという。
エンジンはかからず、ライトも点かなくなり、異常な静寂が辺りを包んだ。
やむなく徒歩で周囲を探索していると、トイレから発せられる「音なき騒がしさ」のような不穏な気配を三人全員が感じ取ったという。
鼓膜には届かぬはずの騒がしさが、確かに“聞こえて”いたというのである。
また別の体験談では、仏像の数を数えていたところ、人数と数が合わなくなるという不可解な現象が発生したとの報告もある。
同行者の中には「線香の匂いがした」と証言する者もおり、明らかに何か霊的な干渉があったと考えられている。
広川ダムの心霊考察
広川ダムがこれほどまでに心霊現象の報告が多いのは、ダム建設以前の土地の記憶、あるいは水没した何かの「痕跡」が残っているからではないかと考えられる。
ダム湖の底には、かつての生活の場が沈んでいる。人々の営み、感情、そして突然断ち切られた命。
それらが無念とともに、水底に閉じ込められているのかもしれない。
また、ダムという構造そのものが水と死のイメージを強く喚起させる。
とりわけ公衆トイレは閉鎖的で湿気を帯び、霊が現れやすい場所として知られている。
実際、複数の証言により、広川ダムのトイレが“ただのトイレ”ではないことが伺える。
さらに、「左回りに歩くと霊に遭遇する」という話は、古くからある“逆回り”の禁忌と重なる。
神社仏閣では通常、右回りが礼儀とされるが、これに逆らう行為は霊的な結界を破るとも言われている。
広川ダムにおける左回りの現象は、まさにこの禁忌を犯したことによる霊的報復なのかもしれない。
広川ダムは、単なる自然公園でも、釣り場でもない。
そこには、今も何かが息づいている。
そしてそれは、訪れる者に、確かな“違和感”として忍び寄ってくるのである。
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