高知県室戸市にある三津坂トンネルには、夜になると鐘の音が鳴り響き、八回鳴り終えるまでに通り抜けなければ異界へ連れ去られるという不気味な噂がある。今回は、三津坂トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
三津坂トンネルとは?

三津坂トンネルは、高知県室戸市の県道202号椎名室戸線に位置する道路トンネルである。
昭和46年(1971年)に車道トンネルが竣工し、平成2年(1990年)には並行して歩行者専用の「三津坂歩道トンネル」が完成した。
全長は車道側が390メートル、歩道側が475メートルとされており、いずれも室戸岬の山岳部を貫く重要な交通路である。
室戸側の入口付近には「葬祭会館」があり、周囲は昼間でも湿り気が多く、空気が重く感じられるという。
特に車道トンネル内は風通しが悪く、照明が薄暗いため、昼でも夜のような陰鬱さが漂っている。
三津坂トンネルの心霊現象
三津坂トンネルの心霊現象は、
- 歩道トンネルを夜に通ると鐘の音が鳴り響く
- 鐘の音を八回聞き終えるまでに、八分以内に抜けなければ異空間に連れ去られる
- 雨の夜、遍路姿の親子の霊がトンネル内で目撃される
- 車道トンネルを走行中、ルームミラーに見知らぬ人物の姿が映る
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も知られた噂が、「鐘の音」にまつわるものである。
夜、人気のない歩道トンネルを一人で通ると、どこからともなく低く鈍い鐘の音が響くという。
その音は一度では終わらず、間を置いて八度鳴る。古くから地元では、この音をすべて聞き終える前にトンネルを抜けなければならないとされてきた。
八分以内に外へ出なければ、現実とは異なる世界に引きずり込まれる──そう語る者もいる。
この奇妙な噂の背景には、平成初期に起きた痛ましい交通事故がある。
小雨が降る霧の夕刻、トンネル東側の道路で、巡礼中の親子が車にはねられ即死したという。
その事故以来、雨の夜になると、白衣をまとった親子の姿が歩道トンネル内に現れるとされる。
通行者の証言では、親子は決して声を発さず、ただ手を合わせるような仕草を見せながら、暗闇の奥へと消えていったという。
一方、車道トンネルにも異様な空気がある。昼間であっても薄暗く、湿度が高く、照明の光がまるで濁ったように感じられる。
走行中、バックミラーを覗くと、後部座席に知らぬ誰かが座っている──そんな体験を語るドライバーも少なくない。
奇妙なのは、そうした体験談の多くが、室戸側の入口付近、すなわち「葬祭会館」の前を通過するあたりで起こっている点である。
三津坂トンネルの心霊体験談
ある地元住民は、夜に歩道トンネルを通った際、明らかに誰もいないはずの背後から「カン、カン…」と金属を叩くような音を聞いたという。
振り向いても誰の姿もなく、足音だけが反響していた。
また、別の訪問者は、トンネルの中央付近で急に照明がちらつき、霧のような白い影が数秒間漂ったと証言している。
霊感のある者によれば、その影は幼い子どもの形をしていたという。
三津坂トンネルの心霊考察
三津坂トンネルにまつわる怪異は、単なる噂の域を出ないものも多い。
しかし、事故の記録や地元住民の証言を重ねると、少なくとも「何かが起きた」ことは確かである。
鐘の音の正体は、風の通り道による共鳴現象とも考えられるが、それにしても八回という規則性は不自然である。
また、遍路の親子の霊の出現が雨の夜に限られるのは、事故当時の天候と結びついているのかもしれない。
葬祭会館の存在もまた、心理的な影響を与え、恐怖を増幅させているのだろう。
三津坂トンネルは、利便性と引き換えに、地の記憶と人の死を抱え込んだ場所である。
夜に一人で歩道トンネルを通る者は、軽い気持ちで鐘の音を数えるべきではない。
その八つ目の音が、自分にだけ聞こえるかもしれないからである。




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