長崎県大村市に位置する琴平岳には、かつて激戦の舞台となった歴史や、自殺、事故、そして数々の不可解な現象が重なり合い、今もなお“何かがいる”と囁かれている。今回は、琴平岳にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
琴平岳とは?

琴平岳(ことひらだけ)は、長崎県大村市に位置する標高330メートルの山である。
現在は「琴平岳スカイパーク」として整備され、展望所や遊具、桜並木などを楽しめる自然公園として知られている。
また、パラグライダーの名所でもあり、週末には空を彩る色とりどりのグライダーが舞う光景が見られる。
しかし、この明るく整備された姿の裏には、血塗られた歴史が眠っている。
天正5年(1577年)、龍造寺隆信が八千の兵を率いて大村領に侵攻し、琴平岳に布陣した。
このとき、菅無田砦を守る大村方の武将たちは壮絶な死闘の末に命を落としたが、龍造寺軍も無傷ではなかった。
その後、本陣にて休息していた龍造寺軍は、大村純忠の奇襲によって壊滅的打撃を受け、諫早へと退却を余儀なくされた。
この戦乱の記憶こそが、琴平岳に今なお続く不気味な現象の源ではないかと囁かれている。
琴平岳の心霊現象
琴平岳の心霊現象は、
- 展望所付近の林で、女性が自殺したとのウワサがあり、事故死者もいる
- 林の奥に古びた祠があり、そこで白い服の女性の霊が目撃される
- 首に切られたような傷が浮かび、肩に痣が現れる怪異
- 深夜、首のない騎馬武者が大太刀を担いで猛スピードで追ってくる
- 夜の公園に無言で佇む小学生の霊が出没する
- 犬鳴峠以上に“機械の針が振れる”異常磁場が存在すると言われている
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、最も古くから語られているのが、展望所奥の林で命を絶ったとされる女性の話である。
今から50年以上も前のことであり、その林には事故死者もいるという。
林の奥には古びた小さな祠がひっそりと佇み、そこに白装束の女の霊が現れるとされている。
昼であっても不気味な雰囲気が漂うこの林には、今なお訪れる者の背筋を凍らせる静寂がある。
次に報告されているのが、訪れた者の体に異変が起きる現象である。
ある者は帰宅後、自分の首に切られたような細長い傷ができており、肩には原因不明の痣まで現れた。
しかし、翌日にはその痣は忽然と消えていた。まるで霊に印を刻まれたかのような体験である。
また、真夜中になると、5メートルもの大太刀を担ぎ、馬に乗った首のない武者が時速100キロで駆けてくるという話もある。
目撃者によれば、その霊に追われた瞬間、時間の感覚が歪み、全身に冷たい風が吹き抜けたという。
公園内では、無言のまま一人で佇む小学生の霊が目撃されている。
近づいても一切反応せず、ふと目を逸らすと姿が消えているという。
この霊は、展望所付近で亡くなった子供の霊ではないかとも囁かれている。
さらに、ある心霊測定器によって調べた者によると、琴平岳は“犬鳴峠よりも機械の針が大きく振れた”という報告がある。
つまり、磁場が乱れている可能性があり、霊的な存在を引き寄せやすい場所とされているのである。
琴平岳の心霊体験談
琴平岳で実際に体験した者の話は数多い。その中でも特に印象的な体験談を紹介する。
「昼間に遊びに行っただけなのに、帰宅後に原因不明の吐き気と体調不良に襲われ、2週間寝込んだ。霊感の強い知人に“何かを連れて帰っている”と言われ、お祓いをしてもらったら体調が回復した。」
「高校生のとき、友人と夕方に琴平岳を訪れた。何事もなく帰ったはずだったが、帰宅すると親から『首どうしたの!?』と驚かれた。鏡を見ると、首にまるで刀で斬られたかのような細長い傷ができており、肩には大きな痣まであった。翌日には痣が消えていたが、それ以来あの場所には行っていない。」
「30年前、展望所の奥の林で命を絶った女性の話を聞いていたが、当時は信じていなかった。しかし十数年前、仲間と行った際に、信じられない現象を目の当たりにした。我々は恐怖に震え、それぞれ別々にお祓いを受けた。あの場所は、本当に“何か”がいる。」
琴平岳の心霊考察
琴平岳の心霊現象には、共通するいくつかの特徴がある。
まず、古戦場という土地の因縁による“残留思念”が根強く残っている可能性がある。
激戦の末に命を落とした者たちの無念が、今なお山中に漂っているのではないか。
また、林の奥にある祠や、白装束の女性の霊の存在からは、“信仰と怨念”の複雑な絡みが推察される。
祠が奉られているということは、何らかの霊的存在を鎮める目的があったはずであり、それが何らかの理由で破られたか、あるいは足りていないのかもしれない。
さらに、物理的な異変――切り傷や痣、体調不良など――は、単なる“気のせい”では片づけられない。
磁場の異常や霊的エネルギーの集中が、人間の身体や精神に影響を及ぼしている可能性がある。
琴平岳は一見すれば自然豊かなレジャースポットであるが、その奥底には戦と死、そして忘れ去られた怨念が眠っている。
「明るい場所ほど、影は濃くなる」とは、まさにこの地にこそふさわしい言葉である。
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