岩手県二戸市の温泉郷にたたずむ旅館「緑風荘」。ここには、座敷わらしが棲みついたとされる奇妙な噂がある。幸運を呼ぶ存在とも語られる一方、その影には不思議な現象がいくつも潜んでいるという。今回は、緑風荘にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
緑風荘とは?

緑風荘(りょくふうそう)は、岩手県二戸市金田一温泉に存在する由緒ある旅館である。
江戸時代より続く湯治場「侍の湯」として知られ、かつては南部藩の武士たちも傷を癒しに訪れたとされる歴史ある場所だ。
この宿が一躍有名となった理由は、座敷わらしと呼ばれる妖のような存在が現れるといわれているからに他ならない。
座敷わらしを祀る神社も敷地内にあり、旅館側もその存在を大切にしている。
2009年には火災により本館と新館が全焼するも、座敷わらしの神社は無傷で残され、2016年に再建・営業再開を果たした。
緑風荘の心霊現象
緑風荘の心霊現象は、
- 少年の霊が現れる
- 無数のオーブが飛び交う
- 夜中に誰もいない部屋で足音がする
- 子供の笑い声が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、もっとも多く語られるのが「少年の霊」である。
これは座敷わらしとされる存在で、伝えられる姿は古風な着物を着た幼い男児。
夜中にふと目を覚ました宿泊客が、布団の端に座る子供の姿を見たという報告が後を絶たない。
次に「オーブ」の出現である。消灯された部屋でビデオ撮影をしたところ、無数の光球が飛び交っていたという体験談がいくつも存在する。
特に、子供用のおもちゃを部屋に置いていた場合、その周囲にだけ異様なほどのオーブが集中する傾向があるという。
また、「誰もいないのに足音がする」という現象も報告されている。
深夜3時、隣の部屋から廊下を歩く足音が聞こえるが、確認しても誰の姿もない。
まるで見えない存在が、誰かを探しているかのように旅館内をさまよっているようだ。
そして、「子供の笑い声」。
これは特に「槐の間」で多く聞かれており、時には部屋にひとりきりのはずなのに、背後から小さな笑い声が耳元に届くという。
緑風荘の心霊体験談
ある宿泊者は、母親とともに緑風荘に一泊した際、消灯された部屋でスマホのライトを点けてビデオ撮影を行った。
すると、まるで部屋の空間が生き物のようにざわめき始め、無数の色彩を帯びたオーブがカメラに映り込んだ。
宿泊者はそれを「亀麿ちゃんたちが遊びに来てくれた」と語るが、その映像には何か得体の知れないものを感じさせる異様な雰囲気が漂っていたという。
また別の宿泊者は、父親と訪れた際、夜中の3時に目を覚ました。
不思議なことに、日中の疲れが残るはずの身体に不自然な寒気が走った。
父が供えた子供用のおもちゃの付近から、強い気配が放たれていた。
目には見えずとも、たしかに「何か」がそこにいたと語る。
緑風荘の心霊考察
緑風荘に現れる座敷わらしは、一見すると幸運を運ぶ存在として知られている。
しかしその一方で、「去った家は衰退する」という言い伝えもある。
その言葉通り、かつて火災で本館が焼け落ちた背景には、座敷わらしがその地を離れた兆しかもしれないという恐怖が潜んでいる。
また、オーブや足音といった現象も、単なる偶然や自然現象では説明がつかないケースが多く報告されている。
座敷わらしは「子供の霊」ではなく、「この世に成仏しきれなかった者たちの集まり」なのではないかという見方すらある。
果たして、緑風荘に今も座敷わらしは棲んでいるのか。
それとも、もうすでにこの宿を去ってしまったのだろうか——。
謎は深まるばかりである。
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