大分県に実在する「清水トンネル」は、現在こそ改装されているものの、かつては電灯もない荒れた姿で、“おばけトンネル”と呼ばれるほどの心霊スポットとして知られていた。そんな清水トンネルには、今なお上半身だけの白い霊が現れるなどの怪異が語り継がれている。今回は、清水トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
清水トンネルとは?

清水トンネルは、大分県の旧三光村と国道10号線を結ぶ道路トンネルである。
現在は改装され、明るく整備された姿となっているが、かつての清水トンネルは荒れ果てており、照明もなく、壁は落書きで覆われ、陰鬱な空気が漂っていた。
その異様な雰囲気と、不可解な噂の数々から、地元では長年「心霊トンネル」「おばけトンネル」として恐れられてきた場所である。
清水トンネルの心霊現象
清水トンネルにまつわる心霊現象は、
- 上半身だけの白い霊がバックミラーに映る
- トンネルの中で車が出口にたどり着けなくなる
- 少女の霊が現れる
- 急に気温が下がる、異常な寒気に襲われる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も語られる怪異が、「上半身だけの白い霊」である。
肝試しに訪れた若者たちがトンネル内で車を停車させると、サイドミラーやバックミラー越しに、腕を振りながら追いかけてくる上半身だけの白い幽霊が映るという。
この霊の出現は一度や二度の目撃ではない。
清水トンネルを訪れた者の多くが「確かに見た」と証言しており、噂の域を超えて現地に深く根を下ろした怪異である。
また、トンネル内で車を停めてから再び走り出すと、「出口にたどり着けない」という恐怖体験も報告されている。
どれだけアクセルを踏んでも、延々と続く落書きの壁。
同じ景色がループするように繰り返され、まるで別の次元に迷い込んだかのような錯覚に陥るという。
さらに、少女の霊がちらりと姿を現すという噂もある。
これは目撃談としての詳細は少ないが、白いワンピースを着た少女の影を見た、という証言が複数ある。
そして不可解なのは、トンネル内で急激に温度が下がる現象だ。
真夏であっても、トンネルに入ると一気に肌寒くなり、鳥肌が立つような冷気に包まれることがある。
エアコンでは説明のつかない、異様な寒さである。
清水トンネルの心霊体験談
これはある地元住民が実際に体験した話である。
清水トンネルが改装される前のこと、友人とともに肝試し目的で夜中に訪れた。
トンネルの中心付近で車を停め、悪ふざけのように騒いでいた。
しばらくして帰ろうと車を走らせたが、どうにもトンネルの出口が見えてこない。
走っても走っても、同じ落書きが延々と続く。
「何かおかしい」と思い、ふとサイドミラーを見ると――そこには、上半身だけの白い幽霊が、無表情のまま追いかけてくる姿が映っていた。
車内にいた全員が、はっきりとその姿を見ていた。
パニックになりながらも走り続けていたら、気づけばトンネルを抜けていた。
しかし、その間の記憶はほとんど残っていないという。
以後、その人物は清水トンネルを通るときには絶対に停車しないと決めている。
清水トンネルの心霊考察
清水トンネルでの心霊現象は、単なる噂話では片づけられないほど具体性と共通性を持っている。とりわけ、「上半身だけの白い霊」の存在は異常である。
通常の霊的存在が全身で現れることが多いのに対し、上半身だけという不自然な姿は、何かしらの暴力的な死や断絶を示唆している可能性がある。
この地で過去に殺人や自殺などの事件があったという記録は見つかっていないが、「首切りがあった」という言い伝えもある。
もしこの霊が生前、無念の死を遂げた存在であるならば、その怨念が空間に染みついて、今もなお彷徨い続けているのだろう。
また、「トンネル内で出口にたどり着けない」という現象は、いわゆる“時空の歪み”や“異界への迷い込み”の類と似ており、極めて危険である。
現実と異界の境界が曖昧になっている場所では、引き戻されなくなる可能性もある。
現在は改装され、明るくなったとはいえ、霊の姿はいまだに目撃されているという事実がある限り、ここは決して油断して通って良い場所ではない。
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