岩手県花巻市の山あいに、ひっそりと朽ち果てた廃ホテル「花仁(はなじん)」がある。かつて温泉宿としてにぎわったこの建物は、現在、無数の怪異が報告される心霊スポットとして知られている。今回は、ホテル花仁にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
ホテル花仁とは?

ホテル花仁(はなじん)は、かつて温泉郷として知られていた岩手県花巻市台に存在していた宿泊施設である。
開業は1960年代とされ、当初は「ホテル仁」という名称で多くの観光客を迎えていた。
しかし、バブル崩壊と共に客足は遠のき、1990年代後半には経営が悪化。
「ホテル花仁」と名を改めたものの復活することはなく、1999年頃に閉業。
以後は廃墟と化して現在に至る。
老朽化が進んだ現在の建物は、昼間は台温泉の駐車場としても使用されているが、夜になると一変し、誰もが足を止めてしまうほどの異様な雰囲気を漂わせている。
ホテル花仁の心霊現象
ホテル花仁の心霊現象は、
- 女性や少年の幽霊の出現
- 話し声やラップ音の発生
- 心霊写真の撮影報告
- 車の窓に残される無数の手形と女性の顔
である。以下、これらの怪異について記述する。
女性や少年の幽霊の出現
浴場跡では白い服をまとった女性の霊が頻繁に目撃される。
目が合った瞬間に消え去るという報告もある。
また、廊下や階段では少年の霊が現れ、誰もいないはずの空間に子どもの笑い声が響くことがある。
話し声やラップ音の発生
建物内では、人の気配がまったくないにもかかわらず話し声が聞こえることがある。
また、木が鳴るようなラップ音が規則的に響き、来訪者の足をすくませる。
心霊写真の撮影報告
廃墟内で撮影された写真には、人がいないはずの場所に影が写り込む。
特に有名なのは、入口の大きなガラスに写り込んだ女性と男の子が手をつなぐ姿である。
現場にいた者が確認したところ、誰一人その場にいなかったという。
車の窓に残される無数の手形と女性の顔
ホテルを後にした車のガラスに、無数の手形と女性の顔が浮かび上がったという報告もある。
特に、同行した女性が「横に女性が居て、ずっと睨まれていた」と語りながら泣き崩れた事例もある。
ホテル花仁の心霊体験談
ある訪問者グループの中にいた女子が、帰路の車内で突然泣き始めた。
理由を問うと「説明できない。ずっと誰かが隣にいて、睨まれていた」とのことだった。
その女子は以後も何度もホテル花仁の夢を見続け、理性では止められない衝動に駆られて一人で現地を訪れてしまった。
様子を見かねた知人によりお祓いを受けることになったが、当人は道中で拒絶反応を示し、車内で泣き叫び、コンビニでタクシーを呼ぼうとしたという。
お祓いによって霊は離れたとされるが、一度では完全に払えず、複数回通う必要があった。
現在は平穏を取り戻しているが、当時の体験を語る口調には、今でも恐怖の片鱗が残っている。
ホテル花仁の心霊考察
心霊現象の報告が後を絶たない背景には、建物自体が持つ「場の記憶」があると考えられる。
経営破綻、事故死、失踪事件――噂が事実であれ虚構であれ、その積み重ねが「念」となり、空間に染みついているのだろう。
特に女性に霊が憑きやすいという噂は、古くから語られる「水場に霊が集まりやすい」特性に由来するのかもしれない。
浴場で命を落とした者の念が強く残っているならば、その影響を受けやすい敏感な人物が症状を示すのも頷ける話である。
写真に写る影や、車の窓に現れる手形と女性の顔――これらはすべて、「見てはならないもの」に見入られた者が、日常へ戻ってもなお連れ帰る現象の一端である。
ホテル花仁は、好奇心で訪れるにはあまりに危険な場所である。
軽はずみな肝試しの代償は、思いのほか重く、長く尾を引くことになるだろう。
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